アルミのオイルパンのネジ山が舐めたら タップボルトで修理

最近多発しているトラブルの一つ。


ムーブに限らずなんですけど、ダイハツが結構多いかな


オイルパンが剥がれています。

どんなトラブルかというと


アルミのオイルパンのドレンボルト部分のネジ山舐め。

原因は9割以上がオーバートルクでの締め付けすぎ

今のエンジンって、軽量化と放熱性を高めるために多くのメーカーでオイルパンがアルミ化されています。
今までの感覚でドレンボルトを締め付けると、すぐに舐めちゃうんですよ。

これすごく多いトラブルになってきています。

舐めちゃった場合どうするかっていうと、

①短いドレンボルトだったら、長いボルトに交換して、生きている奥のネジ山でなんとか締め付ける

②オイルパン自体を交換する

③ネジ山を修正する

と、3択になってきます。
ダイハツであれば初期型のKFエンジンはドレンボルトが短いタイプなので、長いものに交換すれば
なんとか締めつけが可能になりますが、既に長いドレンボルトのエンジンを舐めちゃった場合は

②か③の選択肢になってきます。

実際にぼくはどうするかというと、先日購入したM14 1,5のタップを使ってドレンの穴を拡大して
スズキのドレンボルトに付け替えています。

ですが、この作業は結構大変なんですよ。まずダイハツのドレンボルトはM12でスズキよりも小さい。
小さいからスズキのものへネジ山を立て直すことが可能なんですが
結構神経使う。

手順としては

手動の手回しドリルで穴を拡大します。そうじゃないとM14サイズのタップが入らないから。
あとは真っ直ぐにネジ山を切り直すのが結構難しい。角度が曲がったらオイル漏れの原因になります。

なので、リフトがあって万全の体制であればおすすめしますが
プライベートではちょっときつい。なので代替案を考えてみました。


すると世の中便利なもので、こんなアイテムが出回っていたんですよ。
早速1つ買ってみました。


このタップボルトのすごいところは、

舐めたネジ山にそのまま締め込んでいくとネジ山を形成しながら締め付けることが可能だということ。

そして、その後何度でもドレンボルトとして使用ができるということです。


そのからくりは、ネジの材質とサイズにあります。
ノギスなどで測ってみたら、純正のM12に対して若干ですが大きめのボルトです。

なので、舐めた部分にネジ山を形成しながら締めていけるということになります

早速交換して捨てたアルミのオイルパンに試してみました。
さすがにいきなりこのボルトをぶっつけ本番で試せるほどいい加減なことはできません。

きちんと使用に耐えうると判断ができたらお客さんにおすすめしてみようと思ったわけです


まずはできる限り前のネジ山を除去します。
舐めたネジ山はマイナスドライバーなどでコジコジするとポロポロと剥がれ落ちていきます。

短いドレンボルトの場合、奥に見えるネジ山は無事なわけです。
なので、現在のKFエンジンに採用されている長めのドレンボルトに交換すれば、まだ使用が可能になります。

今回は奥のネジ山もダメになったと仮定して作業をすすめます


舐めた部分のネジ山を綺麗に除去できたらいよいよタップボルトを差し込みます。
若干きついです。


タップボルトにグリスなどを塗布してからゆっくりと締め込んでいきます。
間違ってもインパクトなどを使わないように。オイルパンが割れる可能性があります。

締めつけはかなりきついです。ネジ山を形成しながらしまってくので当然ですけど


ようやく一番奥まで入りました


オイルパンの内部から見ると、ボルトが到達しているのがわかりますね

ここからゆっくりとタップボルトを抜いていきます


切粉がそこそこ出ますのでパーツクリーナーで念入りに掃除します。
この状態でまた締め付けてしまったらまったく意味がありません。

落ち着いて念入りにゴミや切子を掃除してください


抜いたタップボルト。きれいに掃除してみると、このようにボルトにはまったく傷は入っていません


そして肝心のネジ山はどうなったかというと、確かに形成されています。


そして再びタップボルトを挿入すると今度は軽く回ります。当然きっちりとグリップします。

このボルトのさらにいいところはボルトの内径は純正のパッキンがそのまま使えるということ。

つまり見た目じゃまったくタップボルトが使われているということすらわからない。

ちなみにこの状態で純正のドレンボルトに付け替えるとネジ山が拡大されているので
スカスカになります。

タップボルトの感想としては、実用にOKと言えます。
半信半疑でしたが、これは使えます。

注意するところは、タップボルトを使う前に、古いネジ山のゴミをできるだけ除去してフラットな状態に
近づけたほうがきれいにネジ山が作れるということ。

そして、奥にネジ山が残っているのなら、ロングのドレンボルトを使用して、それがダメになったら
タップボルトにしたほうがいいということ。

やっぱりネジ山が完全に生きている場所ではその締め付け感がかなりきついのがわかりました。
できれば完全に舐めちゃった状態の方がリカバリーしやすくなります。

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