GRS211のクラウンに乗ってる人からの依頼です。
リヤブレーキパッドを交換して欲しいと。
ブレーキパッドは持参してきたものを使用してほしいということです。
それでは作業を開始します。
GRS211クラウンのリヤブレーキパッドは、このようにピンで固定されているタイプです。
ダイハツ車のフロントに採用されているものと似ているタイプ。
そしてこれだけ錆びています。
フィッティングキットはこちらで用意しておきました。再利用するのは危険だと思います。
フィッティングキットというのはこのようにパッドを押さえているピン類のことです。
これが約3000円くらいします。
この針金が折れたらパッドが飛んでいく恐れがあるので、新品にしてください。
まずはブレーキのリザーブタンクより若干量フルードをスポイトで抜き取っておきます。
キャリパーのピストンを戻した時に、こちら側へフルードが押し戻されてくるのでオーバーフローする可能性があるからです。
アウター側のパッドにひっかけてある針金を外します。
上下のピンに刺さって固定されています。
この針金を抜くと、左右に刺さっているスライドピンが外側へ抜けるようになります。
続いて下側の針金もパッドの穴に刺さっている部分を外してフリーにします。
これで上下のピンがフリーになっているので、内側から抜いていきます。
案の定錆びているとピンが固着して抜けません。
叩いて抜いていきます。
錆びています。
下のピンも抜きます。
ピンを抜いたら針金も抜けます。
続いてブレーキパッドを抜いていきます。
これも固着しているとすんなり抜けません。
きちんとキャリパーが左右にスライドするかをチェックします。
ここの動きが渋かったりするとパッドが片減りします。
オーナーが用意してきたのはMKカシヤマのパッドでした。ネットでかったとのこと。
適合はよさそうです。
シムキットは付属していないので、再利用することになります。
厚みはこのように違います。確かに減っていますね。
パッドグリスを塗っていきます。
キャリパーとの接触面に塗布します。ローターとの接触面には塗ってはダメです。
ピストンを挟み込んで縮めていきます。
この時スムーズにピストンが戻らない場合、OHが必要になります。
パッドをキャリパーへセットします。
大体の位置にセットしたら、下の針金をセットします。
上下のピンを入れていきます。
針金の中にもピンを通していきます。
上下のピンを一番奥までセット。
抜け防止の針金をセットします。
上下のピンの穴に針金を差し込んで、真ん中のパッドの穴へ固定する。
これで完了です。
一通りチェックしたら、反対側のパッド交換に移ります。
両方パッドを交換したら、タイヤをつけてブレーキペダルを最初にポンピングします。
ピストンが戻された分だけペダルが奥まで何回か入り込みます。
ペダルの踏みしろがでたら、ブレーキフルードの量を点検して必要なら補充します。
四輪ブレーキパッドを交換した場合、フルードがMAXの量ぴったりになるイメージです。
余談ですが、リヤ左のパッド交換は難航しました。錆びが右に比べて酷くてピンが全然抜けない・・。
ピンが抜けてパッドを外すと、今度はキャリパーがスライドしない・・。
キャリパーのスライドピンが真っ赤錆で固着しまくっていました。
この辺りの部品は当然用意していなかったので、脱着してなんとか動くようにしておきました。
錆びている車はこういうことがあるので怖いですね。ピストンはスムーズに戻ったのでよかったです。
パッドグリスはこちらのWAKO’Sのものがおすすめです。
TOMS(トムス)ブレーキパッド スポーツ リヤ ヴェロッサ、オリジン、クラウン他 0449A-TS375 0449A-TS375
社外パッドにするのならせっかくだからTOMSとかいいかもしれませんね。
ちなみにまさにこの手のクラウン、Rr左のブレーキキャリパーにサービスキャンペーンが出ています。
左後輪用ブレーキキャリパにおいて、搬送工程のガイドが不適切なため、キャリパ同士が接触して、スライドピンのダストブーツが損傷することがあります。そのため、使用過程でブーツ内に水が浸入してスライドピンが錆びて固着し、ブレーキパッドが偏摩耗したり、制動時に異音が発生することがあります。
対策として
全車両、ダストブーツを新品と交換します。
なお、スライドピンが錆びているものは、ブレーキキャリパを新品と交換します。
こちらの車両は残念ながら対象外でした。同様の症状の方はまず車体番号で調べてみてください
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。