3月2日にアウディからリコールが発表になりました。
興味深いので、取り上げてみます。
内容は、助手席のドアミラーで鏡の部分についてです。
助手席側ドアミラーのミラーグラスにおいて、製造時の工程管理が不適切なため、誤ったミラーグラスが使用されているものがある。当該ミラーグラスは、寸法が規定より小さいため、法的要件を満たしていないおそれがある
国土交通省HPより引用
対象台数はわずか110台のリコールです。
ドアミラーって、外側のカバーがあって、中に格納するためのモーター。そして、ウインカーユニットだったり、車によってはカメラなども内蔵されています。
今回のリコールは、鏡の寸法が小さいということですね。
大体のドアミラーはカバーの寸法ギリギリに鏡がついています。
リコール処置は、この鏡の部分だけを交換するとなっています。
恐らく規定に引っかかってるのはこの部分なのかなと。
その形状が円形以外の鏡面にあっては、当該鏡面が直径78mmの円を内包しないもの、又は当該鏡面が縦120mm、横200mm(又は横120mm、縦200mm)の長方形により内包されないもの
保安基準細目告示より引用
多分、新車を製造して新規完成検査をした時には寸法的にスルーされたのか?
そして、数ミリの誤差であれば検査官は気が付くとは思えず、どうやって違反していることに気が付いたのか?
大体のリコールって、不具合が発生してからメーカーが精査して国交省へ報告しますよね。
この手のリコールって、ユーザー側から不具合として上がってくるとは思えませんから。どこかの検査で誰から発見したのかは不明です。
内部検査で判明して、アウディがリコールに踏み切ったのか?不思議ですよね。
いずれにしろ、ドアミラーカバーの寸法は問題ないので、単純にガラス部分だけを交換で済むというのは費用的にはそれほどでもないのでよかったですね。
それよりも一番問題なのは、このリコールを知らないでいて、指定工場で検査をして保安基準適合証を交付してしまうケースです。
どういうことかっていうと、国交省のHPでは「法的要因を満たしていない恐れがある」と書いてあります。言い換えれば、保安基準に適合していないということにも捉えられます。
つまり、リコールをして鏡を交換していないと検査を通してはいけないということになるんです。
しかし、このリコールを知らない検査員が、純正のドアミラーがついていて、割れもなく可倒式で問題がなければ、鏡の寸法に気が付く人の方が珍しいと思います。
純正だし問題ないね!と検査員が完成検査をOKとして保安基準適合証を発行したらどうなるか?陸運局に登録書類を持っていくと、新しい車検証と一緒にリコールの未実施通知書がセットで発行になります。
どういうことか?知らないで通してしまったら、陸事で必ずその事実がバレるわけです。すると保安基準に適合してないのに検査を通しましたねあなた?となってしまい、検査員が処分される可能性があるという、ある意味整備士的に恐ろしいリコールだと言い換えられます。
僅か110台のリコールですが、外車を取り扱ってる指定工場は気を付けてください。
令和2年12月25日~令和3年9月14日の製作車なので、令和5年11月末頃から車検時期になります。
受け入れ段階で必ずリコールの検索して下さいね。検査員じゃ見抜けない確率が高いですよ。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。