アクセルとブレーキを踏み間違えよりも危険!アクセルが凍り付くワイヤー式スロットルは注意

つい先日のことです。うちのお客さんが大きな事故に遭ってしまいました。その車はフロントを大破していて、修理見積を出したらなんと50万オーバー。

さすがに平成一桁登録の車なので、修理はせずに廃車になることになりました。

ここのところ、うちのお客さんも例外なく高齢化が進んできています。世代交代はしているものの、絶対数はやはり団塊の世代からその上の方たちです。

ニュースに出てくるようなアクセルとブレーキの踏み間違いをしてしまったお客さんもいます。

コンビニに突っ込む寸前で電柱にぶつかって、なんとか停止ししたなど。

ある程度の年齢を超えてくる人が事故に遭うとどうしても、そのあたりが頭をよぎってしまいます。

廃車せざるを得なくなった、修理費用50万円オーバーのお客さんの事故要因を聞いて思わず注意しないといけないと思ったので紹介します。

アクセルが戻らなくて、滑って突っ込んでしまった

そのお客さんに修理見積を電話すると、事故の詳細を教えてくれました。これだけ大きな損害の場合、保険を使って修理するなど保険屋さんが動くことが殆どです。

しかし、年式もかなり古い車の為、車両保険は加入しておらず。

さらには単独事故だったことがわかりました。一体どうしてこんな事態になったのかというと、

「アクセルを踏んだら戻らなくなった」

というのです。事故車はキャブオーバーなので、エンジンは座席の下。フロントパネルが全滅してガラスも割れていますが、エンジンをかけて若干移動させることは可能でした。

レッカー車で運ばれてきたとき、業者さんが普通に移動していたので、アクセルが戻らないというのは疑問。実車を見てみると、キャビンは押されて変形しているものの、アクセルは普通に戻ります。

ではどうして戻らなくなったとお客さんが言っているのか?

答えは意外な理由です。その日の朝は今年一番の冷え込みで、まさかのアクセルワイヤーが凍り付いていたんです。

昔の車はアクセルワイヤーが凍ることがある?

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今の車はアクセルペダルとスロットルバルブはワイヤーでつながっていません。アクセルペダルにはセンサーが点いていて、スロットルバルブはモーターがついています。

アクセル開度をECUにセンサで入力して、ECUが電子制御スロットルのモーターを開いてアクセルを開ける。

物理的にアクセルとスロットルがつながっていません。

しかし昔の車は機械式スロットルです。ペダルとスロットルはワイヤーを介してつながっています。ワイヤーで動きをトレースしてスロットルを開閉しているんです。

ここでピンと来たのがスバルのサンバーであったリコール。TT型サンバーにアクセルワイヤー交換というリコールがありました。

理由はアクセルワイヤーがライナー部にアルミナ粉が混入した等の原因により、インナーケーブルが早期に摩耗するものがある。結果、インナーケーブルがほつれてライナー部に引っ掛かり、アクセルが固定されてしまうもの。

これは単純にアクセルワイヤーの部品が不良でした。

しかし、お客さんの車はアクセルが凍り付いてしまったという事。

実はこの車両、台風19号で水没した車でもあります。キャブ車だったので、電装系統はなんとか問題なく使えるようになったんですが、この時の影響も残っていた模様です。

アクセルワイヤーが凍り付くことは本当にあるんです。

アクセルが戻らなくなったらペダルを手で戻しても無駄

それでは、アクセルが戻らなくなったらどうするか?

ちなみにペダルを戻す方向へ足で押し戻すという方法はどうか?つま先をペダルと床の隙間に入れての人海戦術です。

しかし、これは効果がない場合があります。というのも、アクセルとワイヤーは基本的に先っぽで引っかかっているだけ。

アクセルを戻したとしても、ワイヤーが戻らない構造の車があります。こういう車は駄目。

スロットルを戻したいというのであれば、エンジンルーム側でスロットルを手で戻すこと。これが一つの手段です。

多分、車に乗っているとそんなことをしている余裕はないと思うんです。アクセルが戻らない場合って、大体エンジンがふけ切ってしまって焦ってしまいますから。

一番有効なのはニュートラルにしてエンジンを切ってしまう事。この時、車の姿勢をきちんと整えておく事。ハンドルが曲がったままだと、パワステが効かなくなるので危険です。

なるべく直進状態にしておくということ。もちろんブレーキもエンジンが停止すると、ブースターが効かなくなるので注意です。ただしニュートラルにしてしまえば駆動は伝わらないので、車が暴走することはなくなります。

アクセルとブレーキの踏み間違いも怖いですが、古い車にもこういう事が起こりえます。もしアクセルが一度でも凍り付いたことがあるのであれば、最低でもワイヤーは交換すること。

そしてどこかから水などが混入していないかを点検しておいてください。

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