この前このようなクレームが入りました。
「お宅でオイル交換をするときに、オイル交換をすれば燃費が良くなって走りがよくなる!と言われたが全くかわらない!お金を返してほしい!」
というものです。
営業マンが来店されたお客さんとトークして、オイル交換について聞かれた時にそのように答えたようです。
その時、営業マンは通常の5W-30のオイルではなくて、低粘度のエコオイルである化学合成油の0W-20をお勧めして交換してもらったとの事。
以下、この件を検証してみます。
目次
オイル交換で燃費が良くなるのは本当か?
まず最初に、オイル交換で燃費が良くなるのか否か?
ネットサーフィンをしてみると、ほとんどの記事でオイル交換で燃費が改善すると記載されています。自動車メーカーのHPをみても似たようなことが書いてあります。
では、オイル交換をして燃費が良くなるのは本当か?
これは本当だと言えます。
しかし条件が2つあります。
まずは1つ目。交換前のオイルよりも粘度の高いオイルを入れると燃費は良くなりません。最低でも交換前のオイルと同じか、それ以下の粘度のものを選ばないと駄目。
2つ目。理屈上は燃費が良くなるのは間違いありません。ただし、乗り方次第で燃費は大きく変化をします。
ドライバーの使い方でオイル交換をしても燃費を悪くすることが可能なんです。つまり、乗り方を変えたり外気温の違いだったりで燃費は変わってしまうということ。
オイル交換をして燃費が良くなる根拠は何か?
では、オイル交換をして燃費が良くなるのはどのような理由でなのか?
オイルが劣化してくると、潤滑性能が悪くなってきます。エンジンオイルの役割の一つである潤滑というものは、エンジンの燃費にかかわってくる部分です。
例えば上下運動をするピストン。ピストンとシリンダーにはオイルで潤滑をしています。オイルが劣化すると潤滑性能が悪くなるので、フリクションロスが発生。
カムシャフトやクランクシャフトも同様です。回転しようとするシャフトに対して、オイルで潤滑をしています。劣化したオイルでは同じように潤滑性能が落ちてるので、新油に換えることで抵抗が減る。
これらの損失をオイル交換することで改善できるため、理屈上はオイル交換をすると燃費が向上するというのは間違いではありません。
実際にオイルを交換して燃費が良くなるのか、毎回計測してみると・・・
ここからが本題です。僕は、給油時に毎回必ず燃費を計測しています。そしてオイル交換も人よりかなりこまめに行ってる方だと自負しています。
シビアコンディションを守ってるので、2500km走行時点でオイルを交換しています。
そして、入れるオイルにも添加剤を混ぜたりいろんなテストをしています。
オイル交換前と後で燃費は良くなるかと聞かれると、NO!と答えます。前に説明したことは嘘だったのか?と思う人も居るかもしれません。
僕はオイル交換をしてその違いを体感できるか?と聞かれるとこれもまたNO!と答えます。
体感が鈍いと言われるとそれまでですが、人間の感覚には個人差というものがあるんです。オイル交換をして燃費が変わる!走りが良くなる!というのを全ての人が感じられるかというと、それは間違いです。
僕のように体感ができない人間もいるし、実際に燃費も変わらない結果もでています。
燃費に関しては理屈上ではよくなります。しかしそれは机上の空論といってはそれまでですが、すべての走行条件がイコールで計測できるのなら、良くなるんでしょう。
気温、アクセル開度、渋滞の感覚、アイドリング時間。どれか一つでも違うと燃費は良くなるわけがない。それを人間が再現できるかというと不可能です。
エンジンの変化を体感できるのは、エンジンが不調の時
エンジンがおかしいな?と不調を感じることがありますよね?その感覚って、間違っていないんです。
例えばガソリンエンジンが失火すると、アクセルを踏んだらドドドドという音がして、いつも通りのパワーが出ません。
アクセルを踏んでいるのに加速が鈍い。ここまでエンジンが不調になると、ほぼ大半の人は異変を察知します。それでも、車検や点検で入ってくる車の中には1気筒死んでいても気が付かない人もいます。
オイルを交換して全ての人が体感できるのかというと、NOである理由はここにあります。
エンジンルームを開けて、オイルを交換する前と後で振動などを比較してもわからない時だってあります。相当オイルが劣化してスラッジが堆積しているようなエンジンでは、何となくわかります。
オイル交換をすれば燃費が良くなり走りも良くなるというのは、人によっては誇大広告になってしまうと僕は思います。みんながみんな体感できるものならいいけど、そうでない人の割合の方が多いわけですから。
僕は、オイル交換を頼まれて、オイル選びで悩んでいる人の相談は、価格とその人の使い方でどの程度のオイルが必要なのかを考えて提案するようにしています。
その際、低粘度オイルを使ったとしても、燃費が良くなるといったことは言いません。エンジンにとってなんでオイル交換が必要なのか?そこをよく説明して、メーカーの指定交換よりも早いスパンでの交換をお勧めしています。
相手が期待するような、思わせぶりなセールストークをするのは難しいです。メリットばかりを考えてしまい、その結果がイマイチだったら今回のようなクレームになることもありえます。
お前が乗ってるボロ車だけだろ!という突っ込みもたくさん来そうですが、僕は整備士になってからずーっと燃費を計測し続けています。もちろんオイル交換前と後での変化も同様です。
今までに8台乗り継いできましたが、3代目の愛車からずっと燃費計測をしてきているので、この辺りの確証は取っている方だと思います。
逆にどのオイルを入れたら燃費がリッター2km以上増えたのかとか、教えてもらいたいです。実際にそれを試してみますから。
僕がやってるYouTubeチャンネルでは、オイル交換にまつわることもたくさん実験しているのでよかったらチャンネル登録おねがいします。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。