前に遭遇したエンジン故障を紹介します。
その車は年間の走行距離がなんと500kmにも満たないときもあるほど、低走行の車です。およそ25年以上前の車です。オドメーターはまだ1万キロ台。
そんな車がエンジンブローしました。原因は一体何だったのか?
整備は車検がたまに入ってくる程度。毎回車検を入れてくれるわけでもなく、距離を乗らないがゆえの故障も出ていました。
例えばブレーキが引きずる・漏れる。リヤホイールシリンダーからのフルード漏れはしょっちゅうで、更には固着。結果2車検ごとにホイールシリンダーを交換しないと駄目だったり。
距離を乗らないと、動かさないといけない部分が固着したりします。それはエンジンにも同じ影響を及ぼしています。
目次
超シビアコンディションに該当する使い方
こわれた車は軽トラックで、畑から畑を移動するだけの用途です。その距離は1kmにも満たない位の距離。
1回乗ったとしても2km程度です。月にどの程度乗るかというと、繁忙期はそこそこの出番がありますが距離が短い。冬は農業をしないわけで雪かきをした雪を捨てに行く程度。
エンジンをかけて負荷がかかると嫌なガラガラ音が出始めていました。
結局メタルから異音が出て大きくなり、とうとうエンジンが止まってしまった。
走行距離は1万キロ弱ですが、経年数が25年を超えていた車両。何が問題だったのか?
エンジンオイルを適切に管理していなかった為に、壊れてしまったということになります。
オイルは距離を走らなくても交換をしないといけない
この軽トラックが何故壊れたかというと、オイルが劣化しているのに負荷をかけていたからメタルにダメージが蓄積されてきた為です。
1回の走行距離が5kmにも満たない車で、エンジンが暖まる前に停止。これを繰り返していました。何故駄目なのか?そしてオイルの状態が見た目は奇麗なために、車検で交換されない時もあった。
4年間はオイルを交換されない時もあったということです。
一番まずいのは、距離を乗っていないからといってオイルを交換しないということです。おそらくいろんな車検工場に順繰り車検を出していると、オイルの管理がわからなくなります。
特に新規ユーザーとして入庫すれば、車両の状態がわからないのでお客さんに整備を提案してどこまで手を入れていいのか伺いを立ててからやらないと駄目です。消去法で整備を提案するわけですね。その時オイル交換はしなくていいと言われれば、そのままになってしまいます。
しかもこの車は燃料装置がインジェクションではなくてキャブレターを採用しています。キャブ車って、インジェクションの車よりもオイルが厳しいです。
何故ならば、きめ細かい燃料制御をできないので、どうしても排気ガスは汚くなるし、燃料を濃く混合してしまいオイルの中に燃料が希釈されていきます。
オイルにガソリンが希釈されると、潤滑機能が低下していきます。
適切なタイミングでオイルを交換していればこうはならなかったはずです。
走行距離が短い車は半年に一度はオイル交換をすべき
自動車メーカーもオイル交換についてはシビアコンディションを決めています。シビアコンディションに該当する場合、通常使いの半分でオイル交換時期を設定されています。
これには当然意味があるので、そのように設定しているわけです。
先ほど説明したとおり、エンジンが暖まる前に停止をする。それを繰り返す乗り方をすると、オイルの中に燃料が希釈されやすくなります。
すると潤滑性能が低下して、オイルとしての機能が果たせなくなるためエンジンにダメージが蓄積されていきます。
使わない車に半年ごとオイル交換するのはコスト的に厳しい。というのであれば、使う直前にオイルを交換してから使う。
例えば1年を通じて春から夏にしか使わないのであれば、春先に一度オイル交換をする。冬は使わないので、オイルを変える必要なく冬眠させておき、来春に使う前にオイルを交換してから使う。
こうすればオイル交換の回数は減らすことができます。
通年を通して使うのであれば、やはり半年に一度はエンジンオイルを交換しておくべきです。エンジンが壊れて載せ替える、廃車になるよりはオイル交換をしたほうがよっぽど安上がりですからね。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。