スポーツカーブランドとしてその名を聞いたことがないといえば嘘になるポルシェ。免許取り立ての人でも、おじいちゃんおばあちゃんでも知ってるドイツのスポーツカーメーカーです。
最新のポルシェからクラシックポルシェまで世界各地に愛好家がたくさん存在する、ポルシェ。
ポルシェにはクラシックカーのメンテナンスをしてくれるファクトリーも存在し、それぞれクラシックポルシェのパーツも販売しています。
その中にエンジンオイルも含まれています。現代の技術で当時のエンジンに最適なオイルを調合して製造。販売しています。
今と昔のエンジンでは素材もクリアランスも違うし制御だってまったく違います。もちろんエンジンオイルだってまったく違う。
いわゆる旧車と呼ばれる車は製造から25年以上経過したものを指したり、1945年までに製造されていたものを指したり、定義は様々です。僕が20代の頃クラシックカーというジャンルでは昭和40年~50年代くらいの車というイメージもありました。
あれから随分と時間が流れているので、線引きが難しいかもしれません。
目次
旧車に使われるエンジンオイルって?
旧車と現代の車を比べてみて、現代の車に使われている高性能なエンジンオイルをそのまま旧車に使えるか?という疑問。
これは使えませんとなります。正確に書くと、入れてすぐに焼き付きなどの問題が発生するわけではないですが、様々な弊害が出てきます。
旧車のエンジンと、現代のエンジン。比較してみるとわかりやすいです。
まず、昔の車はエンジンオイルの粘度が違います。現代の車はとにかくフリクションロスで低燃費化を目的とされています。少しの抵抗でも燃費に跳ね返ってくるので、潤滑するエンジンオイルもどんどんと低粘度化されてきました。
僕が整備士になった頃、オイル交換に来店された人用のオイルは10W-30を使っていました。今は5W-30と0W-20をドラムで置いてあります。
その他欧州車用や、さらに低粘度なSNPlusの0W-16もあります。
一番進んでいる現代のオイルはなんと0W-8というもの。トヨタの新型ヤリスや日産のDAYZ。三菱のEKなどがこの0W-8という超超低粘度オイルを採用しています。
クラシックポルシェのオイルはどの位の粘度かというと、20W-50、10W-60、10W-50、5W-50というラインナップ。
固い物は20W-50です。なかなかのものです。国産車の90年代、32GT-RやZ32。初代NSXやスープラ、FD3SにインプレッサSTI、ランエボなどハイパワー時代では15W-50などのオイルが主流でした。
これらのハイパワーターボや大排気量NAを支えていたのはワイドレンジな化学合成油。ですが、旧車に適合するのは化学合成油よりも鉱物油です。
旧車と現代の車エンジンはどのように違う?
旧車と現代の車。エンジンはどのように違うのか?もう違うところだらけです。
旧車の場合、エンジンのクリアランスが今のエンジンよりも大きいということ。さらに、各部を密封するオイルシールの材質も違います。
よく旧車に現代の高性能オイルを入れると、オイル漏れを起こすといわれています。あれはオイルシールの材質が原因その1。旧車のおエンジンに使用されているオイルシールに適しているのはノンポリマーの純鉱油。
低燃費を主目的とされている現代のエンジンは、低粘度の化学合成油がベストです。
制御方法も全く今と昔とじゃ違います。旧車はいわずもがな燃料系統はキャブレターです。今の車は電子制御で事細かくインジェクターを使います。
チョークが付いた昔の車、エンジンをかけたことがある人少なくなってきています。エンジンの始動がかなり難しいです。
今の車って、ブレーキペダルを踏んでスタートボタンを押せばかかりますよね?昔の車は外気温に応じてチョークを引いて、火の入り加減によってはアクセルをうまく操作しないとエンジンがかかりませんでした。
多分今の免許取り立ての人ではかけられないかもしれない。そして一度始動に失敗するとプラグがかぶってしまい、プラグを清掃して組みなおさないとかからない。
それほどアバウトな燃料制御だということです。
現代のエンジンはそれをすべてコンピューターが演算して、適切な燃料噴射をコントロールしてくれますので、誰でも一発でエンジンがかけられる。
このように燃料噴射も大雑把な時代です。燃料がリッチでくすぶり気味になると、オイルも燃料で希釈されがちになり早めに交換しないといけない。
旧車には各オイルメーカーから出ている旧車用オイルを使うこと
どの位の年代から旧車扱いなのか?この辺りは難しいですが、感覚でいうと平成の車はまだクラシックカーとまではいかないかなと。
この辺りの車であれば、オイルの粘度を気を付ければ今の時代のオイルをチョイスしてもさほど問題が出ないかなと。
さすがに昭和50年代くらいの車になると注意してください。もはやクラシックレベルに突入しています。
それなりきのオイルをチョイスしないと、オイル漏れなどいろんな弊害が出てきます。
オイルメーカーからは旧車用のエンジンオイルもラインナップしています。
その中からチョイスしていけばいいと思います。
さすがに昭和の車が車検で入庫してくることはほぼなくなりました。平成初期の車でも、クラシック部類になりつつあるので、たまに遭遇すると懐かしさでいっぱいになります。
車が電気製品と揶揄されるようになってきた現代において、平成初期からさかのぼる車はいかにもオイルの臭いが漂う「機械」バリバリな乗り物だねって。
排ガスは確かに汚くて臭いけど、味わい深いです。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。