燃料の誤給油について何度か書いてきました。基本的にガソリンエンジンに軽油(ディーゼル)を入れるのとディーゼルエンジンにガソリンを入れるのでは、ディーゼルエンジンにガソリンを入れるほうがマズイです。
今回はそんなディーゼルエンジンにガソリンを入れてしまった実例を2件紹介します。
目次
いすづのウィザードにガソリンを入れてしまった・・
あまり見かけなくなりましたが、まずはいすづのウィザード。ディーゼルエンジン搭載車でガソリンを入れてしまったという。
これは僕自身が体験した出来事です。まず、事の発端はオーナーからの電話。セルフスタンドにて軽油とガソリンを間違えて入れてしまった。
走っていたら途中でパワーがなくなり、エンジンがとまってしまったという。連絡を受けて、レッカーにて引き上げてきました。
状況はタンクはほぼすっからかんだった。そこにガソリンを20リットルほど間違えて入れてしまい、エンジンを始動して走行。結果止まってしまった。
工場に運んできて、まず試してみたのは燃料の抜き替えです。純粋な軽油に入れ替えて復活するかどうか?
燃料タンクの脱着はさほど大変ではありませんでした。
タンクを下ろして、内部のユニットなどを外してできる限りの燃料を排出させました。そこに軽油を10リットルほど入れてからタンクを揺すりまくって、軽油で燃料タンク内をフラッシング。
10リットルほど入れた軽油をもう一度排出したのち、20リットルの軽油を入れました。これで燃料タンク内はほぼ純粋な軽油になっているはず。
燃料タンクを組み付けて、クランキングと行きたいところですが、ディーゼルエンジンは燃料ラインにエアが噛みこむとエンジンがうまくかかりません。
プライミングポンプというポンプをつかって、手動で燃料をあおっていきます。
しかし、ウィーザードのプライミングポンプは助手席側のステップの奥みたいなところにあり、さらに力がかけにくくて、作業性最悪です。
これはオーナーが燃料切れを起こしたとしてもDIYでポンプを操作するのは厳しいと思った。
プライミングポンプからエア抜きをして、ポンプに確かな手ごたえが出たところでエンジンオイルを新油へ交換しました。これでクランキングを試みます。
クランキングすると、エンジンはなんとかかかりました。
ほっとしたのもつかの間。4気筒エンジンが正常に動いていないような感じ。ガソリンエンジンでいうところの失火しているような状態。
回転をあげてもばらつきます。しばらくエアが抜けきらないのかもしれないということで、レーシングなどを繰り返しました。エンジンはかかっているものの、すごく不調です。
このウィザード、結果的にどうなったか?
インジェクターが結局壊れてしまって、全数交換すると20万オーバー。それをオーナーに話したら廃車となりました。
ディーゼルにガソリンを入れると壊れるという最たる例になってしまいました。
CX-5のスカイアクティブDにガソリンを入れてしまったケース
続いてはマツダのCX-5。これも当時出始めのスカイアクティブDが搭載された車両。ガソリンスタンドで店員さんが間違えてガソリンを入れてしまったという相談。
本当に当時出始めのCX-5だったので、これは近隣ディーラーに相談したところ診断機が必要になる可能性が高いということで、マツダへ一任しました。
状況としては、半分くらい減っている燃料タンクにガソリンを満タン入れてしまった。幸いなことに給油途中で気が付いてクランキングはしていない。
とりあえず絶対にクランキングしないで、マツダへ搬入しました。
ウィザードとの一番の違いはエンジンをかけていないということ。ウィザードで一番まずいのはエンジンがかかっている中で止まってしまったということ。
このCX-5はクランキングもしていないので、燃料ラインにガソリンは混入していないものと想像できます。
結果どうなったか。
やはり燃料タンクを脱着して、内部を洗浄して純粋なる軽油を入れたということで復活しました。かかった費用は確か3万円くらいだったような気がします。
燃料タンク脱着して内部を清掃。軽油を給油しなおすというコースでは妥当かなと。
運命の分かれ道はエンジンをかけたかかけないかです。
もし燃料を間違えてしまったら・・
ガソリン車に軽油。ディーゼル車にガソリン。誤給油をしてしまったらどうするか?ポイントになるのはエンジンを始動しているかどうかです。
クランキングしていなければ、高確率で燃料を入れ替えれば復活します。
万が一エンジンを始動してしまったら・・・。ガソリン車であれば被害は少ないですが、ディーゼル車に関して言うとウィザードのような結果になることもあります。
今のディーゼルエンジンって、ガソリン車よりもデリケートになってるので注意してください。
特に車を買い替えてディーゼル車に乗り始めているとき。昔ガソリン車に乗っていると、癖で間違える可能性があります。そして、会社の車がディーゼルで自分の車がガソリン車というケースも注意が必要です。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。