先日、ニュースでも話題になりました。マツダのスカイアクティブXの製造風景を公開したものです。
とうとうマツダのスカイアクティブXはあと1ヶ月弱で日本市場にも販売されます。欧州ではすでにスカイアクティブXがマツダ3に搭載されています。驚きなのが、マツダ3を選んでいるユーザーの6割がスカイアクティブXを選んでいるということ。
当初ならすでに日本でもデビューを果たしていた、注目のエンジンです。ここでざっと気になる点などをおさらいしておきたいと思います。
目次
スカイアクティブXとはどんなエンジンか?
まず、スカイアクティブXがどんなエンジンなのか?これはいろんな記事や雑誌で紹介されているので、細かい部分は省略します。
大雑把に言うと、ガソリンエンジンをディーゼルエンジンのように制御しているということです。ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの違いって、まずは燃料です。ガソリンを入れるか、軽油を入れるか?
そしてエンジンは爆発して動力を得るわけですが、従来のガソリンエンジンは点火プラグによる点火をしています。これに対してディーゼルエンジンは、圧縮圧力を利用した自己着火です。
ガソリンエンジンをディーゼルエンジンのように制御する。それがスカイアクティブXというエンジンで、当然のことながら世界初のエンジンとなります。
スカイアクティブXをセッティングしているオクタン価
ガソリンをディーゼルのように自然着火させるには、燃料の質もちゃんと担保しないといけません。ガソリンといえばオクタン価というものがあります。レギュラーとハイオクって同じガソリンですがオクタン価がまず違います。
オクタン価が高いガソリンを使ったほうが、エンジンのノッキングが起きにくくなります。つまり、圧縮比をあげたりすることができてスポーツエンジンなど高性能なモデルに使われています。
スカイアクティブXの先行で導入されている欧州モデルは圧縮比がなんと16.3です。これって恐ろしいことにディーゼルエンジンのスカイアクティブDよりもかなり高い。スカイアクティブDは14.0というディーゼルなんですが、逆転の発送で圧縮比を下げています。
それにしてもガソリンで16.3ってなんて高いんだ!
問題となるのが、この欧州バージョンのスカイアクティブX。向こうのガソリンってオクタン価が95と高いのです。これに対して日本のレギュラーガソリンのオクタン価は91。ちなみに日本のハイオクのオクタン価は98~100となっています。
欧州で販売されているスカイアクティブXはこのオクタン価95をベースに作られています。これをこのまま日本に持ってきて載せるとどうなるか?
日本のレギュラーは91オクタンなので、オクタン価が足りません。性能を担保するにはハイオクをいれないとダメということになります。
なので、欧州で販売されているスカイアクティブXを日本に持ってくると圧縮比が高すぎてオクタン価がたりなくなってしまう。まずこれを解消しようと、日本のオクタン価91に合わせて日本用スカイアクティブXを作り替えているということです。
当然圧縮比も日本向けにしてくる。欧州で販売されているスカイアクティブXと日本で販売されるスカイアクティブXは中身が違うということです。
日本仕様のスカイアクティブXはレギュラーをいれても大丈夫?
欧州バージョンと日本バージョンではスカイアクティブXの中身が違います。日本で販売されるモノに関しては、圧縮比も日本仕様にして、オクタン価91でセッティングをしてるのでレギュラーをいれても大丈夫なのです。
それではハイオクを入れたらどうなるのか?マツダ3をスカイアクティブXで買う人っておそらく2通りいると思います。ちょっとお金に余裕がある人で、とりあえず最高グレードのものを買っちゃうか!という人。
純粋にスカイアクティブXを待ち望んでいる人。後者の人は、おそらくガソリンが減ったらハイオクを自主的に入れることが想定されます。僕も軽トラックなどに意味もなくハイオクを入れて乗っていた時期があります。
ハイオクの方がオクタン価だけの問題ではなくて、レギュラーと違って吸気バルブをきれいにする添加剤が入っていたりする。
エンジン内部をクリーンに保つということでも、レギュラーより有効です。
車好きな人がハイオクをスカイアクティブXに入れたとき、
「レギュラー入れた時とちっともかわんねーぞ!」
と言われるのをマツダは避けるために、ハイオクを入れたときはそれなりの性能がでるようにセッティングをほどこした。これが日本でスカイアクティブXの導入が遅れた理由だそうです。
基本的にハイオク指定ではなくてハイオク推奨ということで、レギュラーを入れたらレギュラーのセッティングで。ハイオクを入れたらハイオクのセッティングでエンジンが機能する。ちなみにハイオクを入れたほうがトルクと馬力がでる。
日本のガソリンの見直しを!
スカイアクティブXがでるということは、他のメーカーが成し得なかった偉業でもあります。これを機に日本のガソリンも見直してもらいたい。
クリーンディーゼルが日本で出た時って、従来の軽油からガラッと中身がかわりました。それまで日本のディーゼルってものすごく黒煙が出ていました。
これを東京都が先陣を切って、改革に乗り出したから今のクリーンなディーゼルがあると思います。日本のディーゼルが黒煙もくもく出していた頃、ヨーロッパのディーゼルってすでに黒煙がほとんど出てなかったのです。
原因の一つが燃料の質でした。日本でクリーンディーゼルが一斉に販売されるようになって、軽油が変わった。これと同じことをガソリンでもしてもらいたい。
問題なのはオクタン価ですね。今の91からヨーロッパと同じ95まで引き上げるということ。アメリカなどのしがらみもあるみたいですが、是非これを機に変えてもらいたい。
同じ値段でオクタン価が上がれば、それだけエンジンにもゆとりが生まれます。日本のドライバーって、ハイオク仕様の車に平気でレギュラーを入れる人がいるので。
日本でスカイアクティブXは売れるのか?
それではあと1ヶ月で日本でも登場するスカイアクティブX。売れるのか?
これは、欧州のようにマツダ3の6割相当を占めるというのは難しいとぼくは思います。やはりそれは価格差ですね。トヨタの同クラスに搭載されているガソリンエンジンも、スカイアクティブXではないけど燃費性能がかなり高いです。
スカイアクティブXを成立させるには、スーパーチャージャーが必要だったりどうしてもコスト高になります。それをランニングコストで元を取るというのは難しいです。
スカイアクティブXはどちらかというと、「欲しい!」と思う人が買えばいい。車を足として考えるのであれば、スカイアクティブDの方がコスパは高いです。
残念なのはスカイアクティブDの2.2の設定がなくなってるということ。スカイアクティブDの2.2がマツダ3に存在したらスカイアクティブXが色あせてしまう。
それくらい2.2リットルのスカイアクティブDはよくできています。
いずれにしろ技術的には大変なもの。ぼくは純粋のスカイアクティブXを早く見てみたいし乗ってみたい。興味の方が強いです。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。