新車の保証には一般保証と特別保証があります。特別保証は車が走行する上で必要な部位にかかわるもの。例えばエンジンだったりミッションだったり。
これは5年10万キロまで保証があります。それ以外のものは一般保証と区分けされ、3年を経過した時点で保証切れとなります。
今年の3月に初回車検を終えて、晴れて一般保証が切れたND型ロードスター。真夏にエアコンが効かないということで、整備しました。
エアコンガスがどこかから漏れていて、効きが弱かったのでとりあえず蛍光剤を流し込んで様子を見ています。ただでさえ高額なエアコンが故障しているわけですが、ここに来てさらに別の故障が起こりました。
それはパワーウインドウ。助手席のパワーウインドウが妙な音がして動かなくなったというので診断してみました。モーターは動いていて、若干上下はしますが
「ギリギリギリ」
という音がしてすぐに挟み込み防止装置が働いてしまいます。
原因究明の為に内張りをはがします。
NDロードスターのドア内張りは隠しネジ2本を外すだけ。あとはクリップ留めです。
なかなか洒落た構造になっています。果たしてどこがいけないのかな?
オーナー曰く、何かのネジが外れて噛みこんでる!と言っていましたが、どうも違う模様です。
NDロードスターのパワーウインドウはワイヤー式のようです。ということは・・・。
どうでしょう?写真中央のワイヤーが毛羽立っています。ここが抵抗を食っていて、挟み込み防止を働かせています。
悲しきパワーウインドウの異音と故障#パワーウインドウ故障#パワーウインドウ異音 pic.twitter.com/ccGrO7dZGp
— チームMHO (@teammho) August 27, 2019
ウインドウレギュレーターの不良というやつですね。
そもそもなぜパワーウインドウが壊れたのか?
この車に関してはとても考えにくい事例です。走行距離は5万キロに満たなくて、新車登録から3年と6ヶ月程度しか経過していません。
レギュレーターのワイヤー部分をみるとどうも錆びているようにみえるんですが、基本的にこの車は青空駐車ではなく車庫にいつも入っています。
そして冬は乗らないし雨の日も乗らないという徹底ぶり。なのになぜ壊れるパワーウインドウ?
長らく整備士をやっていると、こういう外れの車ってやっぱり存在します。これ、オーナーはなかなか納得できないと思います。その気持ちはよくわかる。
何しろ水がつくことを嫌って、晴れた日にしか主に乗っていません。そして初回車検が終わってしばらくの出来事です。一般保証が切れたタイミングで待ってましたとばかりに壊れまくるロードスター・・・。
原因はなんだ?とオーナーに詰め寄られても説明のしようもありませんでした。見たところワイヤーが茶色に変色しているので、やはり錆びのようなものが原因で、ワイヤーがほつれてしまったのか?ということですね。
マツダディーラーに相談してもダメです。当然ディーラーは車を販売こそしていますが、メーカーのように製造をしているわけではありません。一般保証の期間であれば、無償で修理してもらえますけどね。
オーナーにとっては納得しがたい事例ですが、とりあえず部品を注文しておきました。
パワーウインドウのレギュレーターももしかしたらマツダの内製部品じゃないかもしれないですしね。サプライヤーから買ってる可能性もある。それにしてもよく壊れるな・・・。
ちなみに180SXは何も壊れませんでした。今、眠っていますが現役時代はこういう故障というものは一切なく20万キロ近く走破した。それと比較すると、技術が進んでいる現代でバシバシと壊れていく車を目の当たりにすると、オーナーのやるせない気持ちはよくわかります。
まあ部品代だけで直してあげるので、それだけでもよしとして下さい。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。