クルマを乗り換えて、前のクルマと比べてしまう話

車検整備をやっていると、お客さんからよく言われる事があるんです。

「前のクルマはこうだった・・」

「このクルマはおかしくないか?」

結論を先に書くと、クルマはおかしくないんです。クルマにはそれぞれ個性もあるし、壊れどころも違う。前のクルマでは問題なくても、次のクルマはウィークポイントが違う場所だった。という事。

タイヤが異様に減る!?

車検で入庫してきたのはスバル車です。このお客さんにとっては、2回目の車検。5年落ちで走行距離が35000km程度でした。

受け入れ検査をすると、タイヤがショルダー部分で片減りを起こしていてワイヤーが出そうなほど。トレッドの中央部では2〜3mm残ってましたが、明らかに車検はNG。

お客さんが住んでいる地域はかなりの山奥です。うちの整備工場へおりてくるまで1時間近くかかります。もう、ワィンディングロードそのものの峠道。

とりあえず現車で交換が必要な部品をピックアップ。やはりアップダウンの激しい地域なので、ブレーキパッドも減っています。タイヤもダメ。

その事をお客さんに電話して伝えてみると

「タイヤが減ってる?そんな筈はない。前に乗っていたクルマなんか生涯でタイヤを2回も交換しなかった。そのクルマ、おかしいんじゃないのか!?」

と、おっしゃってきました。

ちなみにこのスバル車。タイヤサイズは205/55R16。参考までに、前に乗っていたクルマを聞いてみました。そうしたらカローラだったといいます。

ちょっと調べてみたらおそらく175/70R14のサイズっぽい。ここからどうやってお客さんに納得してもらうか。まずタイヤサイズが全然違いますよね。扁平率が全然違う。そして、車重も違うでしょう。

お客さんが訴えているのは、走行距離が35000km程度で交換が必要になるタイヤとクルマがおかしいという。お客さんの主張はごもっともで、山間地に住んでいるので、走行距離の半分はスタッドレスタイヤを履いている。

すると2万キロも走ってないのに交換になるのか?ということです。

カローラのタイヤに比べるとこの205/55R16の方が1本あたりの単価が高い。その価格にも後押しされて納得いかないのかもしれない。

クルマって、いいなと思って乗り換えたとします。でも、実際に維持していくとちょっとここがなぁ・・。という部分も少なからず出てくるもの。

今回このお客さんは初めてのタイヤ交換を目の当たりにして、前のクルマとの違和感が噴出したんだと思います。

ウォーターポンプの交換で怒り浸透!

まずはこちらをご覧ください。

このケースもよく覚えています。この画像をみてどう思いますか?ウォーターポンプ、激しく漏れていますよね?

車検で入庫してきました。走行距離は10万キロに満たなかったけど、ウォーターポンプがだだ漏れ。この状態だと検査にパスできない。修理が必要なことをお客さんに伝えたところ

「10万キロにも満たないでウォーターポンプが漏れるなんて欠陥だ!前のクルマは廃車にするまで交換した事なんかなかった!」

という主張でした。ウォーターポンプの交換って、タイミングベルトであろうとチェーンであろうと修理費用が結構かかります。2万円くらいから修理代がかかってきますね。クーラントを含めると。

前に乗っていたクルマはなんだったのか聞いてみたら違うメーカーでした。この当時のアトレーやハイゼットってよくポンプから水漏れを起こしていました。

いわゆるそのクルマ特有のウィークポイントっていうやつですね。前に乗っていたクルマはウォーターポンプの故障が少なかった。だけど今乗っているクルマはウォーターポンプよく故障する。その違い。

一般論として、部品の名前が同じであっても、車種によってはまったくもちが違うことはあるわけです。さらには同じクルマであっても個体差もある。

必ずタイミングベルトが10万キロまでもつ!という保証ができないのと同じですね。使いかたによっても寿命が全然違ってくる。

それを知ってもらいたい。ですが、お客さん側としてはなかなか腑に落ちないのも理解できます。

いま必要とされているのは、いかにお客さんの気持ちに寄り添いながらうまーく納得してもらうか?という話術ですね。あと、交換前と交換後の部品も写真で比較して、納品書と一緒に同封してあげるとわかりやすい。

百聞は一見にしかずです。

前のクルマは頑丈でも次のクルマは弱いかもしれない。同じクルマであっても個体差によっては故障するかもしれない。

全く同じクルマが存在したとしても、使い方によっては部品の寿命はまったく変わってくるということですね。

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