車という物は買う時も当然そうですが、車検や板金に出す時もある程度高額なお金がかかります。
ユーザー心理から僕も考えると、自分に湯水のようにお金があれば見積もりなんか取らなくてもいいと思う。だけど、どの程度の修理費がかかるのか明らかにならないと、オーダーが出せない。
という気持ちも当然理解できます。そんなこんなで、たまに一見さんで複数見積もりをとって一番条件のいいお店で作業をしようとする人も増えてきました。
それぞれ考えてみます。
まずは車検の見積もり。
車検見積もりは当社の場合3パターンあります。
1つ目は車検証データを入力して、概算見積書を提出するパターン。車検整備の本当に基本的な金額しか提示できません。
2つ目はある程度車の状態を確認しての見積もり。多いのが4柱リフトに乗せて、車を下回りを確認した上で作成します。ただこの場合、ブレーキを分解していないのでブレーキについては除外されます。ディスクブレーキならパッドの残量はアルミホイールであれば目視できますけど。
最後の3つ目は完全にバラした上で誤差がほとんどない見積もりをとります。この場合は例えばドラムブレーキをばらすのにハブロックナットを外さないといけなくても外します。当然交換しないといけないナットなので、見積もりに部品代がかかってくる。
これら3つをまずはお客さんに選んでもらいます。1と2は待っている中で作業が可能です。3については事前に知らせていただいてればハブロックナットなどを注文しておきますが、基本的にお預かりするコース。
3については検査ラインにも車両を通して確認した上での見積もり提示なので、誤差はほぼ出ません。その金額で引き受けることができます。
そして板金見積もり。これは当社の板金センターへ見積もり依頼を出さないといけないので、店頭にきた人に関しては写真を撮って見積もりを概算で出すことになります。
当然板金部隊が現車を確認していないので、誤差が生じることがある。板金見積もりって、ある程度作業をしていかないとその部品が使えるかどうかって判断が難しい物がある。
例えばヘッドライトなんかです。表向きは割れたり傷がないとしても、フェンダーを外したら実は取り付け部分が欠けていたから交換しないといけない。こんな感じ。ただそこまできちんと確認するには実際にフェンダーまで外さないとわからなかった。こういう場合がよくあります。
なので、保険がらみだと板金の見積もり部分に
ヘッドライト点検・損傷確認
などといった項目が記載されています。もし損傷が確認できたら交換に踏み切りますよー。見積もり金額が変わりますよーということを意味しています。
車検と板金の見積もりはこのように行っています。ここで問題なのは見積もり料金ってとるのかどうか?ということ。
これは車検見積もりその3といった、ロックナットを外さないと確認できない部分まで確認するケースなどは部品代は最低でもかかってきます。
当然手間もかなりかかってくるので、実作業をやらせてもらえない場合は車検見積もりその3に関しては見積もり料金をもらいたいのが本音です。
整備士の時間工賃って1時間あたり6000円〜7000円です。レバレートというのですが、車検見積もり3に関して言うと検査ラインまで通してブレーキをも分解するので実作業として1時間近くかかります。
本来なら6000円程度費用を計上するべき作業だということ。
大体見積もりをとったら、実作業までやらせてくれる人がほとんどです。
この前こんなことがありました。
うちのお客さんではない一見さんが車をぶつけてしまったので、見積もりをとってくださいと来店。某D社の車で、カレンダーを見ると今日はD社のディーラーは定休日。さりげなく点検ステッカーを見るとやはりDディーラーのお客さんっぽい。
写真での見積もりを了承してもらって、実際に作業に入る場合代車がこの日から空いていますので押さえておきますといった話をして、翌日見積もりを取りに来ますとその人が言っていたので用意して待っていたんです。
が、こないんです。
こちらとしたら、その人の為に代車の予定も組んでいつでも作業に入れる段取りをして待っていました。出来上がった見積もりを取りに来ないんですよ。約束の日が3日も過ぎても・・・。
ふと、4日が過ぎた頃、D社のセールスマンが当社にカタログを届けにきたので、さりげなく聞いてみたら・・。
やはりD社で現在板金入庫しているという。うーんやっぱりか・・・。がっくり。
僕がこの人の何に対してがっくりきたのかっていうと、オーダーをしておいてその後の返事をまったくしてくれないことです。
やはりお店に頼んで約束通りこちらは見積もりを用意して待っているのだから、作業をしないにしても電話の一報くらいは欲しいよなぁって。僕だけじゃなくて板金部隊にも時間を割いてもらって見積書を作ってあるのだから。
実は来店時に電話番号を聞いたら、拒否されたんですよね。その翌日に見積もりを取りに来ますというだけで。この時点でちょっと心配だったけどね。
僕は外注先に見積もりをお願いしたら、作業有無にかかわらずその返事をきちんと出すようにしています。例えばガラス屋さんにガラス交換の見積もりを作ってもらったりしたあと。実際にうちの工場で作業しなくなったとしたら、正直にことの顛末を話して次またお願いしますって。
タイヤも同じです。BSと横浜でそれぞれ見積もりをとる場合、両セールスマンに伝えておきます。どちらかを選ぶかはお客さんなので、恨みっこなしでお願いしますって。その代わり次回は違うオーダーをするって約束をしてね。
そうやって信頼関係って築いていくもんだと思うんですよね。見積もりをお願いしている以上は相手は作業をするのかなー?って若干は期待をしてるわけですからね。値段を聞いた以上はきちんとやるかやらないかの連絡を入れるっていうのが筋なんじゃないかな。
車検や板金の見積もりに限らず、相手にお願いする以上はきちんと返事まで返してあげてください。
結局そういうことを繰り返すと自分の首をしめるときがくると思うんですよね。車の見積もりなんかは車検証をコピーしなくちゃできないし。ある程度の個人情報を相手に流しているわけですからね。僕はこの手の見積もりを作った後、2週間経過しても音沙汰がない場合車検証データを削除するようにしています。
今回は縁がなかったということで。余計なデータを持っていると車検やら点検の案内通知も出ちゃうかもしれないですからね。
うーん残念。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。