車は長く使ってくるとやはり壊れるリスクが高くなってきます。
壊れるという表現はちょっと弊害があるかもしれませんが、やっぱり壊れるときは壊れます。
消耗部品を交換しないといけないというのは、壊れる、故障というわけではありません。
何か突拍子もない故障が起こったこと、コレが壊れるということであります。
今はダイアグノーシスがオンボードで表示できるOBDという診断機があります。
最近はもっとハイテクになって、使いやすくなっています。
断線、ショートやセンサーの故障などは拾ってくれますが、レアショートなどの
微妙な判定のものは故障コードを拾ってくれません。やはり経験と勘により整備をして
故障を診断していかないといけません。
例えばアイドリングがおかしい。まずは基本点検から。
オイルは入っているか、エアクリーナーはどうだ?プラグはどうだ?
これでエンジンの基本測定をするのです。そして、消耗品を点検した後にさらに詰めていく。
アイドリングの不調はプラグがくすぶっているからだった。
プラグを交換しよう。やった。なおった。よかったよかった。
これはキャブ車ではありの修理内容。でも今は電子制御時代。そんな簡単に答えはありません。
くすぶっているプラグはどうだ?よく見たらかなり焼けているじゃないか。真っ白だ。
プラグの電極が真っ白だということは何が考えられるか?いわゆる焼けすぎということでしょう。
ではオーナーの使い方はどうだ?通勤に毎日40km走る。山道もガンガンと走るんだ。
そうか、ではやはりプラグへの負担もすごいだろうな。と、ここで終わってもいけない。
しかし、今までこの人のプラグはここまで焼けていただろうか?と。おかしいと感じる。
では原因は何か?走行距離を見てみると12万キロ。これはもしかして・・・
そうであります。燃料系統。つまり燃圧が低下していると。燃料フィルターもまだ未交換。
燃料ラインが詰まってきて、尚且つポンプの力も衰えてきている。
インジェクターへの通電時間を変化させて、たくさん燃料を供給しろと開いてみても
圧力が足りない。なので燃料が全然追いついていない。インジェクターの開弁時間はECUが
コントロールしたとしても、燃料圧力はECUではどうにもならないと。機械的に直さないといけない。
つまりアイドリング不調は燃料が薄いことでのプラグの焼けすぎが原因だけど、
プラグをそんな状態にしたのは燃圧が低いから。燃圧計を装着して、フィルターを換えてみる。
そこで規定量の圧力までもどればいいけど戻らない場合はポンプも交換したほうがいい。
この状態でプラグのみを交換して高速走行をすると、高負荷状態で燃料噴射によるピストンの冷却が
追いつかずにピストンに穴をあけてしまうと。
これは一例でありますが、電子制御時代、一つ故障が起こったらその部分だけを直すだけではなく
大元の故障にたどり着けなければまた同じ故障を繰り返してしまうと
自動車の故障原因とは、どんどんどんどん難しいものになっていくのでありました
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。