夏真っ盛りですね。夏といえば車にとってはオーバーヒートの時期です。今はお盆休みに入っていますが、オーバーヒートした車を数台工場は抱えています。
まずはオーバーヒートってどうして起こるか?その辺をご説明していきますね。
目次
オーバーヒートの原因は主に4つ
結論から書くと、オーバーヒートの原因は主に4つに分別されます。
- 水漏れなどによる冷却不良
- ラジエター詰まりなどによる冷却容量不足
- 電動ファン故障によるオーバーヒート
- サーモスタット不良によるオーバーヒート
現代の車は普通に使っていれば、およそ外気温が40度を超えたとしてもオーバーヒートしないでしょう。それほど冷却能力には余裕をもたせてあり、緻密な制御をしています。
ではなんでオーバーヒートを起こすかというと先にあげた4つがほとんどの原因となります。
水漏れによる冷却不良
これはクーラントがどこからか漏れ出しているケースです。
漏れている場所はラジエターからかもしれないし、各ホース類かもしれない。はたまたウォーターポンプの可能性があります。
今の車って水冷エンジンですので、エンジンのウォータージャケットにはクーラントが循環されています。この冷却水量が足りないとオーバーヒートを起こします。
この場合、クーラントが空っぽになってしまっていると水温計が動かない場合もあるんです。水温計は水温センサによって動く仕組みですが、水温センサが熱を感知しているのがクーラントです。
クーラントがない状態では、水温センサはきちんとした水温を計測できない。そのままオーバーヒートを起こすというケース。
ラジエター詰まりなどによるオーバーヒート
ラジエターは熱交換器。熱くなった冷却水をアッパーホースから流し込み、ラジエター内部で循環させます。その際走行風で冷やされてロアホースに達する際にはクーラントの温度が下げられている仕組みです。
前あったケースで、ラジエターのフィンが曲がったり折れまくっていた車があったんです。奇跡的にクーラントは漏れていなかった。
でも、フィンが表面積を稼いで放熱する仕組みがラジエター。うまく放熱がされずにオーバーヒートを起こしてしまった。
ラジエターフィンっていうのはとても重要な役割を果たしています。
電動ファン故障によるオーバーヒート
ラジエターには電動ファンがついています。昔はカップリングファンでした。
今の車には電動ファンがついていて、水温が規定以上まで上がったらモーターを回して強制的にラジエターに風を通して冷却させています。
冷却ラインに漏れがなく、問題ないのにオーバーヒートするという場合、アイドリングで電動ファンが回らなくてオーバーヒートをしているということがあります。
サーモスタット不良によるオーバーヒート
冷却水が通っているラインにはサーモスタットという弁が付いています。
これは中にワックスが入っていて、クーラントが規定以上の温度になるとワックスが溶けて膨張してサーモスタットが開く仕組み。
これにより、冷却通路が開通するんです。なんでこんなことをするのかというと、冬は早く水温をあげてヒーターを効かせたいでしょう?そして水温が低いと燃費も悪くなります。なので車は水温が適温になるまでは冷却通路を封鎖しています。
このサーモスタットが閉じっぱなしのトラブルになるとオーバーヒートを起こしてしまいます。
その他のオーバーヒートの原因
その他にオーバーヒートの原因として考えられるのが、
- ラジエターキャップの不良
- ウォーターポンプの不良
などです。ラジエターキャップは冷却水の沸点を加圧してあげています。こうすることにより冷却ラインに気泡が入らないようになる。
試しにストローに洗剤をつけて洗ってみてください。ストローの中に泡が混入すると、水道水の弱い圧力ではなかなか泡を出口まで運べないんです。
子供のマグなどの水筒を洗っていると、泡をつけてストローを洗うんですけど、この泡がなかななか頑固に通路から出ない。
これと同じことが冷却ラインでも起こり得る。
そしてウォーターポンプの不良。これは外車などでよくあるんですが、ウォーターポンプの羽が樹脂製で経年劣化でもげちゃったりする。
こうするといくらポンプでかきだそうとしても、羽がないんだから水がまったく流動しない。これもオーバーヒートします。
オーバーヒートを防ぐには
車のオーバーヒートを防ぐにはどうするか?
適切な部品を適切な時期に交換すること。これにつきます。
水漏れを起こしやすいホース類は10年10万キロで一度交換する。クーラントはきちんとしたサイクルで交換する。
サーモスタットやウォーターポンプも10年10万キロで一度交換。これだけでオーバーヒートはほとんど防げます。ラジエターを交換するというのも考えられますが、ある程度高額な部品なので、タイミングは10年15万キロくらいですかね?
クーラントが漏れてオーバーヒートするとエンジンが壊れますから。これらのメンテナンスが安いか高いかは一目瞭然です。
クーラントを交換するのが億劫なら、クーラントブースターを入れて性能を復活させるという手もあります。
ただ、錆び錆びになったクーラントには効きません。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。
コメント
オーバーヒートって怖いですよね!
自分はまだ経験した事はないのですが、最近の車は水温計が付いてない車が多いですよね!
これは、ダメダメです。
自分の車(サンバー)も、嫁の車(スペーシア)も青、無灯火、赤でしか水温を知る事が出来ません。
せめて、水温計が付いてればオーバーヒートを防げる可能性があると思います。
走行してしばらくしても水温計が動かないとか、いつもと違う位置に針が行けば何かしらの問題が発生しているかも!?
などと、トラブルシュートも可能ですが、いきなり赤いランプが点いたとしたら、既にオーバーヒートしてる事になりますよね!
とりあえず、水温計だけはちゃんと付けて欲しいと思います。
※水温計なんてなくてもいいと思うユーザーが多いのかなぁ…!?
タコメーターも付いてる車が少なくなりましたよねぇ…。
水温計に温度表示がほしいです、かなり昔は温度表示があったとおもいます。温度表示があると いまどれくらいの温度なのか実感としてわかると思います、針だけですとまだ全然ひえているんだな? くらいしかわからないのでは? ほんとは100度つかくなっているということがまったくわからないということが怖いかも・。と、言いますのは、真冬にオーバーヒートしたからです。原因はサーモスタットの固着で、冷却水が回らず一気にふきだしてしまいました。やっぱりいまどれくらいの温度?というのは分かった方がいいのかもしれません。真冬でしたので車庫に入れた途端に蒸気をふいてびっくりしました。
サンバーはクーラントのエア抜きがうまくいかないとすぐにオーバーヒートするので気をつけてください!
OBD2でモニタリングすると電動ファンが何度で回るかわかります。メーカーによってはまだ電動ファンまわらないの?っていうのもあります。
100度超えるとやはり心臓によくないですね。大体90度台で電動ファンは回るのがほとんどです