10数年整備士をやってきましたが、2回目の遭遇になりました。
スズキ車の「フロントスタビライザー折れ」です。
これが何を意味するかは写真を使って説明しますね。
この年代のワゴンR、アルトなどはご覧の通りの足回りになっています。
ボディとロアアームが接続されて、途中でフロントのスタビライザーが取り付いています。そしてステアリングナックルにつながると。
フロントのスタビライザーが折れるということはどういうことか?
実はこの年代のスズキ車はロアアームのボールジョイントが抜けるといったトラブルを持っていました。
ボールジョイントが抜けると、ステアリングナックルがフリーになってしまい、タイヤがあさっての方向を向いてしまう。
つまりハンドル操作が不能になります。なので車検などではボールジョイントのガタつき点検は必須になります。
ボールジョイントとナックルの隙間にタイヤレバーを入れてこじってみる。ガタがあると、ガタガタとガタつきがあります。こうなったらロアアームを交換しないとダメ。
では今回問題になったフロントのスタビライザーのどこが盲点なのか?
目次
具体的な手間のかからない点検方法が見つからない
スズキ車のフロントスタビライザー折れは、ロアアームに接続されているブッシュの中で錆が発生してやせ細って折損します。
これをどうやって点検するか?ロアアームとスタビライザーをレバーでこじってもおそらくわからないでしょう。
錆びているという事実もゴムブッシュの中にスタビライザーが通っている為発見することは困難です。
つまり点検作業ができにくい。
スタビライザーはロアアームの後部でキャッスルナットと割りピンを使って周り止めをして取り付けられています。
どうやって防ぐか?
これはもうロアアームとスタビライザーのブッシュを外して点検するしかないかもしれない。
シャシブラックを吹き付けてあればなおさらわかりにくいです。
まさかゴムブッシュの中でスタビライザーが痩せているとは・・。
スタビライザーが折れたらどうなるか?
フロントタイヤが後方へ移動します。
つまりホイールベースが短くなるようなイメージですね。それでいて、ロアアームが固定されていないからタイヤハウスと干渉したり相当な音と衝撃が運転席に伝わってきます。
大変危険です。
僕は15年くらい整備士をやって、スズキ車の車検も何百台とこなしてきましたが遭遇したのは2件目です。
おそらくここまでなる前に車が寿命を迎えることも考えられますが、15年を経過してきたMCなどのワゴンRやアルトには注意を払ってくださいね。
一応前回の遭遇したアルトのケースもリンクを貼っておきます。
現場からは以上です(笑)いや、笑えない・・。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。