日産キャラバンのフライホイールです。
本日はこいつを分解したいと思います
フライホイールの役割というのは、エンジンの動力を滑らかにするということが一つ。
それともうひとつは弾み車という目的。
レシプロエンジンだとエンジンは回転運動ではなくて上下運動を回転運動に変換しています。
燃焼工程でピストンが下へ下がる。その力を唐突なものから滑らかにする。
そして一度回りだせばまわすのには苦労がいらないという弾み車。
今回フライホイールを交換した経緯はキャラバンのフライホイールにはさらに違う役割を持っているということ。
ディーゼルエンジンの圧縮は高く、燃焼の衝撃も相当なものなのは想像できます。
今回フライホイールを交換したのは、クラッチが全く滑ってしまったような状態になってしまったから。
どうやらこのフライホイールの中はギヤか何かが入っていて、衝撃をダンパーのような効果でフライホイールの中で消しているような構造っぽいんですよ。なのでクラッチが滑っていなくてもフライホイールで動力がすべる。
フライホイールを交換したら、正常に動力が伝わるようになったんですが、このフライホイールの中身を工学的に分解してみました。
日産キャラバンのダンパー入りフライホイールです。20万キロ走行車。
厚みも相当で、片手では持ち上げられない。恐らく20kgを超える重さだと思います。
フライホイールは2枚構造で、エンジン側とミッション側のなかでギヤみたいなものが入っていると想像できます。
最初はミッション内部からのギヤの異音かと思った。しかしそれはフライホイールの中からだった。
最後は駆動が伝わらなくなりました。
こちらが蓋側。ギヤも相当丸くなっている。ここでも大きく駆動がロスされていたようだ。
それだけではない決定的な原因がこの奥に隠されているはず。
さらにプレートをはがしてみた。そうしたら現れたスプリング。やはりダンピングの役割をしているようだ。
そして決定的なのがコレ
五角形のプレートが割れている。ここで駆動がまったくかからなくなってしまったのだろう。
この二つのプレートに先ほどはがした蓋のギヤがかみ合って駆動が伝えられるんだろうけれど、割れたプレートによって駆動が全くかからなくなったということ。
2枚構造のフライホイールのエンジン側が回っているが、ミッション側のほうは回っていなかったということだ。
おそらくミッションを保護する目的だったり、エンジンへのストレスを低減させる目的だったりいろいろなことを考えてこういったフライホイールになったんだろう。
20万キロもったということは、部品の寿命としては良しとしてもいいのかもしれない。
しかし、この部品は高い。9万円するのだ。
もしこのフライホイールが普通車のそれと同じであったら、クラッチOHまで含めた修理代が15万円を超えることなどありえなかった。
フライホイールが9万円。
やはり良く出来た部品は高いんだなと思いました。
日産キャラバンのダンパー式フライホイールの分解でした。おそらくこいつはレアな画像だと思いますよ。
このプレートはがすのに結構苦戦しましたからね~。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。