まだ正式なアナウンスはありませんが、じきに出ると言われている86とBRZのリコール。
内容が、バルブスプリングの交換というものです。
これについて、若干調べてきました。
単純にバルブスプリングを交換すれば終了なんですが、問題になるのはその作業性。
それぞれの作業指数を調べてみた。
まず、シリンダーヘッドのヘッドガスケット交換は作業指数が19.6時間となっています。
1台分のカムシャフト交換が16.5時間が指数。
シリンダーヘッドOHが25.1時間と設定されています。
バルブクリアランスの調整が16.2時間。
エンジン脱着が6.8時間。AT車の場合8.2時間です。
問題のバルブスプリングを交換するには、カムシャフトを取り外しての作業になります。
まず車上でバルブスプリングを交換できるものなのか?という問題。
これは無理に近いんじゃないかなと僕は思います。と、いうのもボディとエンジンにクリアランスがレガシィよりもあったとして、車上でバルブスプリングを交換するのはどうなのか?
水平対向エンジンはシリンダーヘッドが当然真横を向いています。作業性を考えるとスペースがあったとしても車上で交換する人は少ないでしょう。それこそバルブスプリングを交換するまでに、バルブコッタがどこかに行っちゃったとか二次災害が発生しやすいからです。
現実的な作業はやはり車からエンジンをおろしての作業になる。
僕は水平対向エンジンをおろした経験はありませんが、もしエンジンを下ろすとなるとどうやるか?ミッションのプロペラシャフトを外してミッションとエンジンを一緒に下にメンバーごと下ろす方法をとると思う。
エンジンとミッションが繋がった状態でもきちんとした作業台があれば、ここから問題のバルブスプリングの交換に移れます。
次に問題になるのはシリンダーヘッドを外すかどうか?
僕がリコール作業を行うとすると、ヘッドは下ろさない。エンジンが降りてれば作業スペースは問題ありません。シリンダーヘッドをエンジンにつけた状態でバルブスプリングの交換をすると思う。
バルブスプリングを外すと、バルブが燃焼室側へ落ちる危険性があります。これを回避するだけ。具体的にどうするか?
プラグを外してプラグの穴から圧縮エアを燃焼室に入れて機密性を保持する。
カムシャフトを取り外している状態なので、それぞれの気筒を圧縮上死点に合わせるのはクランクシャフト側だけ。バルブはカムシャフトを外してれば全て閉じてる状態になるから、作業するシリンダーのピストントップだけ出しておけばリスクは少なくなります。
あとは圧縮のエアを入れてバルブを燃焼室側から空気で保持しておき、順番に交換する。バルブスプリングコンプレッサはエンジンが降りてれば、どうとでもなると思います。
専用治具を作ってもいいし。
以上のことを踏まえるとこのリコールが発表になったら、ポイントは2つ。
・エンジンはおろしての作業になる
・シリンダーヘッドを外すかどうかはどちらでもいい
まあエンジンをおろしてカムシャフトを外すんだから、ヘッドを下ろすにもそんなに時間はかかりませんけどね。
もしかしたら、ヘッドを外さないで作業をするとマニホールドも外さなくてもいいかもしれない。
いろいろ心配してしまうリコールなので、たくさん想像しちゃいますが今頃はディーラーメカニックの皆様は頭の中でシュミレーションしているかもしれない。
やっぱりエンジンで載せ替えOKってなればいいんですけどね。
この作業指数だと、工賃だけで10万円以上は確実なコースです。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。