ちょっと自分なりの答えを探していました。いろいろなものを読み漁ったり、調べたりしてみました。
YouTubeのコメント欄に質問を頂いて、答えが非常に迷ってしまったので。とりあえず今日一旦まとめてみたいと思います。
エンジンオイルの粘度について。車のオイルって、指定されている粘度があります。今の車なら、5W-30、0W-20、0W-16、0W-8といった具合です。
8割くらいの車種は5W-30と0W-20の両方が使えるとなっているものが多いです。
指定されているエンジンオイルの粘度以外のものを使ったら、どうなるのか?
具体例としては、5W-30指定の車に0W-40は使えるのか?という質問を頂きました。
結果を書くと、ちょっと不安な要素はあるけど、多分大丈夫ではないかと。なんともグレーな回答になってしまいます。
以下、根拠を書いていきます。
目次
低温側の粘度指数を下げることに対する問題
まず根拠その1として。
自動車メーカーの日産HPにある、オイルの説明にはこのように書いてあります。
これは0W-20のオイルについての記述です。
5W-30などの0W-20指定車以外のクルマでは、オイルポンプのギア噛み合わせ部分の隙間が0W-20指定車よりも広く設計されているため、粒子が細かくサラサラの0W-20を使用すると、ギアにオイルが絡みつかず、エンジン内部へのオイル供給が不十分となり、エンジンの焼き付きなどの不具合の原因となります。
日産HPより引用
これが僕も一番心配な点です。
以前も書いたことがありますが、ダイハツだとKFエンジンが主流ですが、最初は5W-30の設定でした。それが0W-20もつかえるようになり、今では0W-16をNAには充填してきています。
ホンダもそうですねE07Zというひとつ前の軽自動車に載っているエンジン。これも5W-30指定の時代が長かったですが、最終的には0W-20も使用可となっている年式があります。
同じエンジンなのに、何故年式で低粘度オイルが使えるものと使えないものがあるのか?
これはエンジンも少しずつ改良されています。同じ型式であっても、少しずつ改良されていくんです。
その過程で、オイルクリアランスが変わっているということです。
オイルクリアランスっていうのは、シャフトと軸受けの隙間です。クランクシャフトのメタル、コンロッドのメタルなど。
そして、オイルポンプにもクリアランスが決められています。
これらは、その当時の指定オイルを使って設計されています。つまり、0W-20のオイルは後から主流になってきたため、当時のエンジンにこの手の低粘度オイルを使うと、クリアランスに対してオイルが柔らかすぎて問題が起きる。
これが最大の心配ごとです。
高粘度側を上げることはそれほど問題ではない
0Wで始まる低粘度側を下げることに関して、メーカーも記載している通り心配であるという事は書きました。
では高粘度側を上げるのはどうか?
これは、低粘度側を下げるよりは問題は少ないと考えます。
出典:マツダHPより
ちょうどいい図があったので、マツダのHPより出典させていただきます。
これを見るとどうでしょう?
5W-30と0W-30を見比べた時、外気温に対応する横軸のグラフはどうか?
0W-30と5W-30は高温側は同じ温度域まで対応しています。
ここで、僕も愛用しているオイルメーカーTAKUMIのHPより引用します。
基本的に新車充填時のエンジンオイル粘度を、より低い(やわらかい)方へ変更することは推奨できません。先程とは逆の現象として、燃焼室内の気密保持性能の低下、エンジンオイルが燃焼室内に入り燃えることもあり、エンジンパワーの低下などの悪影響が考えられるからです。
TAKUMI HPより引用
高粘度に対する記述は以下の通り
高粘度というのも、あくまでSAE粘度10~20番アップが限界だと考えてください。
それ以上の硬いオイルを使用するとオイルの粘度にエンジンパワーが負けてしまい、エンジン回転数の上昇が遅くなりクルマが重く感じるようになります。
TAKUMI HPより引用
エンジンは長く使ってくると、どうしてもすり減ってきます。
ピストンリングとシリンダーの隙間は広がってくるし、メタルクリアランスももちろん変化していきます。
エンジンは高速で上下運動を繰り返しているので、オイルで保護をしているとはいえ減っていきます。減っていくと圧縮が下がるので最終的にはオーバーホールをしないと圧縮が回復しなくなります。
オイルの粘度を上げると、この隙間を埋めてくれるので圧縮を簡易的に上げることも可能になります。
実際僕も自分の車で試したことがありますが、オイル消費が非常に激しいKFエンジン。5W-30指定車になんと15W-50というバイク用のエンジンオイルを入れてみました。
すると、隙間が埋められたのかオイル消費が嘘のように減ったんです。これは検証済みなので確実な情報です。
つまり、高粘度側の数字を上げることのリスクはあまりなく、10番~20番くらいまでなら問題がないということになります。
冒頭の答えがグレーなのは?5W-30に0W-40が使えると思っている根拠
僕は最初の回答としてグレーだと答えました。
これは、皆さんへ向けた回答になります。どういうことかというと、自己責任においてという意味を込めると、こういったWEBで
「つかえますよ!」
とは胸を張って言えないからです。
しかし、僕自身は使えると思っています。その根拠はこちら。
僕が乗っているハンターカブです。このハンターカブは、指定オイルがG1。G1というと、10W-30という粘度なんです。
しかしぼくはこのハンターカブに現在G4を入れています。粘度は0W-30です。
おいおいおい、こんなに低粘度側を下げても大丈夫なのかよ?しかもまだ1000kmくらいしか走ってない新車ですよって。
でもG4を入れてます。
決め手となった根拠はこちらの図。
ホンダHPより出典
これはホンダのHPからになります。
G1とG4のオイル性能曲線です。これを見ると、オイルの温度が40℃くらいまではG1の方が高い粘度をキープしています。しかしそれ以降は逆転しています。
100℃や120℃を超えると、G4の方が高い粘度をキープしています。
G1は10W-30。G4は0W-30。G1の方がネバネバしているオイルです。
どういうことかというと、G1って昔は鉱物油で今は部分合成油になりました。しかしG4は100%化学合成油です。ベースオイルの性能が違う。
その為、オイルが高温になった時の熱ダレがG4の方が少なく安定しているため、逆転していると。
僕はこの図を見てG4を20Lで買いました。それまでは同じ粘度のG3を入れたりもしていました。このメーカーが公表している性能図を見ると、G4の方が高音域で安定しているので。
最終的に僕自身の見解はどうなのか?
5W-30に0W-40などの低粘度オイルは使えるかどうか?
皆さんへのアンサーは、グレーです。どちらかというと止めたほうがいいです。と答えます。
ですが、自分自身で使うとなると、ベースオイルの性能が高い全合成油や100%化学合成油であれば僕は実際に入れています。
ということでまとめたいと思います。あまり参考にならなくて済みません。メーカーのエンジン開発者さんとトークしてみたいと切にい思っています。
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ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。