ここまで距離がのびたオドメーターはなかなか見かけません。
タクシーなどを整備する工場ではないので、今まで遭遇した中ではこの車が一番距離を走っている車でした。
実に40万キロを走りきった車。どんなメンテナンスを受けてきたかをご紹介。
車はトヨタのライトエースです。ガソリンエンジン。K型エンジンを搭載するマニュアル車。
K型エンジンはタイミングベルトを使っていないエンジンです。ここは一つのポイントです。
このオーナーは車検と一般整備だけでしか入庫はなし。距離は相当伸びるので、オイル交換は自分でどこかのお店でやっていました。車検時には交換時期に達していたら交換。
オーナーの運転技術が優れているのでしょう。
クラッチのOHは20万キロ時に1回のみ。クラッチが滑って交換したわけではなくて、クラッチディスクのダンパースプリングが取れてしまい、クラッチがきれなくなったからしぶしぶOH。
クラッチを外してみたけれど、ディスクはまだまだ厚みがありました。
ホンダの軽自動車でも見かけましたが、クラッチディスクが先に根をあげてしまうケースです。
20万キロ時に充電警告灯が点灯してオルタネーターをリビルト品に交換しました。ダイオードがパンクした模様でした。ブラシの残量はまだあったけれど、OHするよりリビルト品に交換してほしいというオーナーの希望です。
同じく20万キロ弱でセルモーターも交換しています。
こちらも突然セルモーターが回らなくなったという症状で、出先で止まるとまずいからリビルトに交換する依頼でした。
保険のためにイグニッションスイッチも交換しておきました。
ブレーキとベルトは車検ごとに交換。
この車は荷物を積んで仕事に使われていたので、1年車検で車検ごとに交換していました。残量がある程度残っていても交換。
もしかしたら残量がもたないかもしれないという不安を感じるのが嫌だというオーナーの依頼。
ウォーターポンプは15万キロで一度漏れてきて交換。タイミングベルトがないのでそんなにお金がかからないで修理できます。
結局この車は廃車になったんですが、理由は事故で廃車になっただけ。
オーナーに言わせると愛着があったからまだまだ乗るつもりだったとのこと。エンジンにパワーダウンは体感できない。
つまり圧縮だってまだまだあるわけです。元々が頑丈な商用車なので、しっかりしている。その気になれば何キロまで到達できたんだろうか・・。
このオーナーは車のことをよく理解してくれていて、予防で交換をするということに関して悪い顔を一切しなかったです。この辺りは商売に車を使ってるので、部品交換をケチってトラブルを誘発したらその方が損になるということをわかっているからですね。
あと2年弱あれば50万キロに到達したのに・・・。
おしいなぁ。過走行の車が入ってくるとちょっとワクワクしてしまいます。
ライトエース君もこのオーナーに巡り会えて幸せだったろうな。
最後にまとめておきます。40万キロまで走ったライトエースの部品交換サイクル。
エアクリーナー 5万キロごと交換
オイル・フィルター 5000km・1万キロごと
ミッション・デフオイル 5万キロごと
ブレーキフルード・クラッチフルード 2車検ごと
クーラント スーパークーラントだったのでウォーターポンプ交換時に交換
補機類ベルト 車検ごと(およそ4万キロ)
プラグ 車検ごと(およそ4万キロ)
ウォーターポンプ 15万キロ時
セルモーター・オルタネーター 20万キロ時 リビルト交換
クラッチOH 20万キロ時
バッテリー オーナー自身で管理交換
ブレーキパッド・シュー 車検ごと(4万キロ程度、荷物を積むので磨耗が早い)
その他細かいトラブル 都度修理
(最後バックランプが点灯しなくなって、診断したらミッションにつながるバックランプスイッチが不良を起こして交換しました)
そういえばタイヤは当社で交換したことがなかったからオーナーが自分で管理していたんですね。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。