ここの所増えてきた故障があるので、改めて取り上げてみようとみます。それはトヨタのハイブリッドカー。主に30プリウスに多い故障です。
症状はどのようなものかというと、特に冷えた冷間時などエンジンが始動すると、思いもよらぬ振動と異音が発生するものです。
どんな振動と一言でいうと、道路工事のような音です。
静かで低燃費なハイブリッドカーにはにつかわない異音です。おそらく知らない人が遭遇したらエンジンがぶっ壊れたか?って勘違いするほど凄い異音です。
初期状態だと、この異音が発生したりしなかったりします。末期症状だと、常にこの状態に陥ります。
一体何が原因で昨日まで正常なエンジンが、こんな状態になってしまうのか?
そこにはハイブリッドカーならではの原因が見え隠れします。
目次
プリウスのエンジン振動・異音の原因はEGRの故障によるもの
今まで普通だったプリウスのエンジンが急に振動と異音が激しくなった。
この故障、最近かなり頻繁に遭遇します。故障原因を確認すると、ハイブリッドならではだなぁというものなんです。
故障の原因はこちらEGRの固着によるもの。
EGRというのは、排気ガス再循環装置です。何をしてるのかというと、排気ガスを吸入側へ戻してエンジンの燃焼温度を下げる役割をしています。
説明しだすととても長くなるので、重要部だけをさっと説明すると、エンジンの排気ガスに含まれるNOxを低減させるためには、燃焼温度を下げる必要があります。
EGRを使うことで排気ガスをインテークへ再循環させて、意図的に燃焼温度を下げて排気ガスをクリーンにしよう!というのがEGRの始まりです。
でもこれは、初期のガソリンエンジンに対する理屈です。
プリウスなど現代の車にEGRをつける理由はNOxの低減だけではありません。低燃費化を促進させるためにEGRが活躍しています。
ディーゼルエンジンと違い、ガソリンエンジンにはポンピングロスが発生します。スロットルバルブを使っているためです。
トヨタのバルブマチックやBMWのバルブトロニック、日産のVVELなどはスロットルを使わずインテークバルブでスロットルバルブも兼ねています。
スロットルバルブがあるとどうしても絞った時に損失が発生する。損失が発生するという事は燃費に悪影響です。これをバルブマチック以外のエンジンでなんとかしようとしているのがEGRです。
EGRが稼働して、吸気損失を補うようにしているのですが、これが動かない。
なので、エンジンが思うような吸入ができなくなるため、このような道路工事状態になってしまいます。
EGRが固着する原因はカーボン
プリウスの道路工事のような異音の原因はEGRの故障が多いということまではわかりましたが、では何故壊れるのか?
ここから本題です。EGRが動かなくなる原因はカーボンです。
どうでしょうか?かなりカーボンが溜まっていますね。
EGRクーラーの中も真っ黒です。
これら煤が堆積して、バルブの稼働を邪魔してしまう。
もともと動くバルブの付近にこれらカーボンが堆積すると、抵抗になって動かなくなることは見ただけでわかります。
さらに原因を追究するとなんでカーボンが溜まるのかというという疑問がわきますね。
カーボンって、エンジンが温まらないような状態で停止したりするとどんどんとたまっていきます。
エンジンってぶん回せば回すほど、中の燃焼室が熱くなり不純物を焼き切ってしまう。
これができないとカーボンが溜まるわけです。
ここから先はハイブリッドカーの制御を思い浮かべるとわかりやすいです。トヨタのハイブリッドカーに限らずハイブリッドって、不要なときはエンジンを停止していますよね?
一番エネルギーが必要なときは停止状態からのスタート。ここをモーターでになって途中からエンジンをかける。すると燃費がよくなると。
プリウスってエンジン始動時にはセルモーターを使いません。ハイブリッドモーターを回してエンジンをクランキングしています。
なので、普通のガソリンエンジンよりもエンジン始動時の振動が非常に滑らかだと思います。
エンジンの再始動に関してドライバーにストレスを与えないという理由で頻繁にエンジンを停止、始動を繰り返すのがハイブリッドカーの特徴。
どうでしょう?
これではエンジンが完全に暖機する状態にはなかなかなりませんよね。しかも近所しか乗らないような状態ならなおさらです。
高速道路でも突っ走る使い方をしていればそうでもありませんが、ハイブリッドカーの真骨頂である街乗り燃費を向上させるために、諸刃の剣としてエンジンにカーボンが溜まっていくのです。
トヨタはこのプリウスのEGRには保証延長を出しました。それだけ壊れるという事です。
でも30プリウスはこの延長期間も終わってきているので、EGRの交換は実費になります。部品と工賃を合わせれば3万円くらいコースを見ておいてください。
配管類のカーボンも根こそぎ落とさないと意味がありませんからね。
ハイブリッドカーにはまず燃料添加剤を入れること
ここから先は予防策です。
どうすればカーボンの付着を回避できるか?まずは燃料添加剤を定期的に入れる事。
PEA配合のものでなければ意味がありません。
理想的なのは2回連続の投与です。ガソリンを満タンにして1本入れる。そして空になったら、またガソリン満タンで1本入れる。
これを1万キロ毎位にする。
すると、インジェクターからインテークバルブ付近は奇麗になります。あとはEGR側ですが、こちらは燃料添加剤はきいてこないので、やはりたまにはエンジンをぶん回してあげる。
高速道路走行をするなどが効果的だと思います。
ハイブリッドカーって低燃費であるがゆえの制御をしています。これが諸刃の剣となって故障につながるケースです。
ハイブリッドカーもたまにはエンジンを回してください。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。