日本のメーカーでエンジンオイルの交換時期というと、乗用車で15000kmまたは1年ごとというのが最も長いスパンになります。シビアコンディションに該当しないで、途中で減る分はちゃんと継ぎ足しして規定量が入ってればここまで使えるということです。
対して海外の自動車メーカーはどうなのか?ちょっと驚きなのがVWです。VWの純正指定オイルって最長で3万キロ、2年間使えるとアナウンスされています。
もし、このオイルを他の車につかったらどうなのかを考えてみます。
3万キロ、2年間無交換でOKというVWの純正エンジンオイル。交換スパンを見ると日本車のちょうど2倍の距離と2倍の時間軸になっています。
どうしてこんなにもオイル交換しなくてもいいのか?
VWによると、オイルメーカーのカストロールと共同開発したVW専用のエンジンオイルということ。
そして、ベースオイルは100%化学合成油で、VW独自の規格を設けている。通常のエンジンオイルよりもエンジン保護性能が極めて高いということが特徴です。
こちらがそのオイルになります。1リットル当たり3000円はしないくらいで買える。
このエンジンオイルがロングライフを売りにしていることはわかりました。カストロールと共同開発したということですが、純粋なるカストロール製のエンジンオイルでそこまで長寿命なものがあるかというと、ないですね。
VW純正エンジンオイルが3万キロ無交換でOKなのは、オイルの状態を細かくモニタリングしているからともいえます。
オイルパンの底にレベルセンサーを設けて、オイルの状態をチェックしています。エンジンオイルが長寿命であったとしても、それを保持するための量は確保していないといけません。
国産車の多くは油圧センサーのみしかありません。VWはレベルセンサーがついているので細かくオイルの状態を把握していると言えます。
ここからが本題です。
それではこのVW純正のエンジンオイルを国産車に使えるのか?という問題。まずこちらはグレードと粘度が適合している車種であれば使用は可能だといえます。
では最長3万キロ、2年間までオイル交換をしないで性能を保持できるか?というと難しいと考えます。
その理由は、このVW純正オイルはカストロールとVWがVW車のために専用設計したオイルだということ。前述したとおりオイルをモニタするセンサが国産とはまず違います。
異常を感知したらインフォメーションで知らせてくれる。常にオイルをモニタしているので、最長3万キロ、2年間使える。ということであって、必ずしも毎回これだけの長寿命を発揮できるかというとそうではないからです。
当然使用状況によって寿命は長くもなるし短くもなります。
専用設計されたエンジンであれば、そのオイルの性能を発揮できるけどそうではないエンジンに入れたら・・・想像は難しくありませんね。
国産車に入れたとしても15000km、1年ごとの交換は変わらない。特に日本でつかう日本車はストップアンドゴーが多く、シビアコンディションに該当するケースがほとんどです。
そうなると交換時期もさらに半分になる。到底3万キロ無交換とはいかないわけです。
まさに今日入庫してきた車で考えさせたケースを紹介します。
車はインプレッサでした。エンジンが不調で音が大きいということで見てほしいと入庫してきました。アクセルを吹かすと、なんか失火しているような妙な感じ・・・。
と思ったら、エンジン内部から通常は出ないような音が出ていました。
もしかして・・・と、レベルゲージを抜いたらオイルが全くついてこない。
前回のオイル交換からどの位経過していたのかというと、走行距離で10500km弱。時間軸では1年半位経過していました。
これだけをみると、カーメーカー指定の距離を少しオーバーしてるのかなという印象を受けますが、この車両の使い方はシビアコンディションに該当しています。
7500km、6ヶ月毎の交換推奨になるわけで、約2倍近くオイルを使ってしまったという事です。
古いオイルを抜いて新油を規定量注入、オイルフィルターも当然同時交換したらエンジンの異音は小さくなりました。でも少しノイズが出てしまっていた。
もし、この車もオイルの量だけはきちっと補充していたらここまでひどくはならなかったと思います。
2サイクルエンジンのように補充だけしていればいいわけではないのが4サイクルエンジン。ですが、オイル交換の時期が昔に比べて長くなりました。
次回のオイル交換まで、ちゃんと規定量残っているかというと疑問です。オイルの量だけは1000kmごとくらいにチェックをするべきなんだと思います。
長寿命のオイルが出たとしても、絶対に量だけはチェックしないと駄目なんです。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。