この前車検で入ってきた車。初車検でした。
小型貨物なので、初回車検は2年。以降は1年車検となります。
2年を経て初車検で入庫した時、さすがに小型貨物の働く車だけあって、走行距離がなんと5万キロオーバーでした。
オーナーは非常に車のメンテナンスにこだわる人で、バッテリーは交換してくれというオーダー。というわけで、2年で実に5万キロ使われたバッテリーです。
バッテリーケースに膨らみなどはなく、バッテリーテスターで計測してみると健全性100%の充電量100%です。
毎日相当な距離を走ってるので、常に満充電されているということです。
しかし気になったのがバッテリー液の状態。
普通バッテリーって、光に透かすと中の液がどのくらいまで入っているかがわかります。
しかしこのバッテリーはゆさっても液が全く触れてこない。どういうことなのかなと、セルの蓋を開けてみるとこの状態。
バッテリーの極板とツライチくらいまで液が減っていました。LOWレベルよりさらに下にあったということになります。
ここまで液が減ったバッテリーを見たのも久しぶりです。
過走行の車って、バッテリー液が減っていきます。
これは異常なことではなくて正常です。どうしてバッテリー液が減るのかというと、バッテリーは充電されると熱くなります。
バッテリーを充電したことがある人はわかると思いますが、充電中のバッテリーって熱を持って中が沸騰して水素ガスを発生させます。
充電中のバッテリーに近づくとむせるようなガスが出ているので、バッテリーを充電する時はセルの蓋は開けておかないといけない。そうしないと破裂しかねません。
これと似たようなことが、走行中に起こっているわけです。
オルタネーターが発電した電気をバッテリーが蓄えます。電気がたまっていくとバッテリーは熱を持つ。少しずつですがバッテリー液が沸騰して減っていく。
つまり長距離を走る車ほどバッテリー液をちゃんと補充しないと駄目だということです。
試しに手持ちのバッテリー補充液を入れてみました。
2Lの大容量タイプです。これがどこまで減るか?
凄い量入っていきます。
ちなみに水道水を入れてはいけません。必ず専用のバッテリー液を入れる事。
結果はなんと半分近くまで減っています。1L近く入ったことになります。
ここで気になるのが、1Lもバッテリー液が入って大丈夫ということ。
問題は2つあります。バッテリー液を入れると比重が下がるため、バッテリーが弱くなります。バッテリーの補水と充電はセットで考えないといけないんです。
液がたくさん入れば入るほど薄くなるイメージです。
液を入れる前はエンジンがかかっていたバッテリーに、バッテリー液を入れたらエンジンがかからなくなったなんていうケースもあるくらい。
バッテリー液を補充したら、充電をしないといけません。
そしてバッテリー液を減らし過ぎると極板がむき出しになるため、バッテリーが痛みます。バッテリーにLOWとHIレベルがあるのはそのため。
基本LOWレベルまで液が減ったバッテリーはダメージが入ってると思ってください。
補充不要のメンテナンスフリーバッテリーならいいんですけど、普通の鉛バッテリーは補充をしながら使ってください。
あと3年~5年くらいの間には交換すること。
補充が必要なほど過走行をした車は久しぶりに見ましたね。
大体その前にバッテリーが上がって駄目になっちゃうので。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。