この前、このようなツィートをしたら若干の反応を頂きました。
これは事実で、長男の友達が高卒で働きだして1年目。製造業ですが、ボーナスの金額が彼に負けてしまったのです。
向こうはどうやら3ヶ月オーバーで出たようで、僕はというと1.5ヶ月でした。
20年弱整備業界で働いてきましたが、ボーナスは2ヶ月を超えてもらったことはありません。
今日は自動車整備士のリアルについて書いてみます。
僕が勤めている会社は中規模の自動車整備工場です。
毎年新卒の整備士を募集にかけてきていますが、ここ数年新卒が入ってきたことはありません。それどころか、働き盛りの30代後半から40代前半の整備士が4人ほど退職しました。
その代わりに中途採用で、40代の整備士が1人入りましたが、環境は厳しいです。
そして、来年2023年1月より整備業界がまた少し変わります。
それは車検証が電子化されるということです。従来のA4の紙の車検証から、電子車検証に変わります。
まだ現物を見たことがないのですが、心配なのはグローブボックスがゴチャゴチャしてる人や建設業や農家の人の車。
現場で働く車って、室内も半端ない位粉塵が凄い。こういった環境下に電子車検証を入れておいても大丈夫なのか?という点。
着々とオンライン化されてくる、自動車業界です。
しかし、それに追いつくにはそれ相応の投資が必要になります。
今、車検工場ではOSSという車検がすでにスタートしています。e自賠と組み合わせて、データを整備振興会へ飛ばして、引き受けになったらあとは車検証の発行をしてもらってくる。
OSSと言っても、結局は陸事へいかないといけないわけです。
ただ、陸事へくる業者によってはまだまだOSSに対応できてない業者もかなり多いです。自賠責に至っても、手書きで発行している会社もあるくらいです。
電子車検証に対応していくには、さらなる設備が必要になってきます。これがもとに廃業してしまう工場もあるのではないかと。
そして、登録だけではなく、もっと難しい問題が車の電動化についていけるかどうか?
これもリース会社のアンケートで、
「貴社はハイブリッドを含む電動化車両の整備が可能か?」
というアンケートがあって、その結果半数以上が難しいと答えていました。
もちろんそれが全てではないでしょうが、急激に進化する車に対して対応できる設備投資が必要になります。
それが小規模な会社だと立ち行かなくなり、エンジン車の整備をもって廃業ないし、方向転換を余儀なくされるという点。
技術進化が急激すぎて、幅広く修理対応するのがすごく難しくなってくる。
多分そういうことも含めてわかっているからこそ、この世界に新しい人材が入りづらくなってるのではないかなと。
この問題については、保育士さんとちょっと似てるところがあるのかなと。
担い手が不足している理由の一つに待遇が低いというものがあります。誰だって給料が安い業界へ進んで入りたいとは思わないでしょう。
同じ給料をもらうのなら、仕事が簡単で楽な方がいいに決まってますからね。
しかし、整備士の担い手が減るという事は、整備をしてもらえる機会も減るという事になります。今もその状況になりつつあるのですが、例えばディーラーでしかできない作業があったとします。
ディーラーはディーラーで囲ってるお客さんから、そういった仕事をこなしていきたいわけです。
同業他社からの依頼は後回しにすると。極端な例ですけどね。すべてのディーラーがそうであるとは言いませんけど。
おのずとその作業をするには順番待ちになるわけです。その間、もし車が動かせないような症状であれば、ドライバーは毎日車が必要なら代車なりレンタカーが必要になってしまう。
今少しずつ整備の順番待ち状態が始まっているなと感じています。
これが整備士待遇向上へつながるかは分かりませんけど、毎日車に乗らないといけない人にとってはお店選びも重要になってくると。
お店は一極集中化へ向かい、サービスは順番待ち。整備士は待遇が低い。となると、なかなか明るい未来をイメージできるかというと、そうではないなというのが現状なんですよね。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。