新型コロナウイルスが猛威をふるっています。移動手段として自家用車は、自分や感染していない家族を移動させるには最適の手段となりました。
公共の交通手段は第三者との間でいつ感染するかもわかりません。しかし、不要な外出は避けるに越したことがないわけで、車を長らく使わない人も出てくるでしょう。
もし、一週間以上車に乗らないとなると、どのような問題や不具合が起こるか?車は乗らないでいるとどんな故障を招きやすいのかなどを書いてみたいと思います。
ほぼ毎日乗っていた車に一週間以上乗らなかった。
しばらく車に乗らないでいるとどのような弊害が車にでるのか?
真っ先に考えられるのはエンジンがかかるかどうか?という点になると思います。その原因はバッテリーが上がってしまっているかどうかです。
もし、真冬で劣化しているバッテリーのまま一週間車に乗らなかったら、エンジンをかけることはできないでしょう。バッテリーが上がってしまっているからです。
気温の高い夏場などなら、若干劣化しているバッテリーでも一週間くらいは持つかもしれません。いずれにしても、劣化しているバッテリーだと一週間エンジンをかけないでいるとバッテリー上がりを起こす可能性が高いです。
続いて考えられる問題はエンジンのドライスタート。これはもうしょうがない。一週間車を放置するとエンジンオイルが完全にオイルパンまで下がってしまいます。
次にエンジンをかけようとすると、オイルが全域に回るまでの間、各部が金属同士でこすれあい摩耗が促進されてしまいます。これをドライスタートと言いますが、避けようがないからしょうがないです。
そこまで気をつかうほどでもないとは思いますが、もしすごく大切な車だから!ということであればヘッドカバーを開けて各部にオイルを給油、プラグを外してオイルを若干垂らして各部を潤滑してからスタートするのがいいかと思います。
実用使いならここまでする必要はありません。
一週間車を開けて起こる弊害はこの位です。もし真冬だったとすると、サイドブレーキが凍り付く可能性などもあります。車を使い終わったあとはサイドブレーキは引かないでおく事。
よく言われるのが
「車は乗っているほうが調子がいい。乗らなくなると不具合を起こす」
これは本当なのかというと、本当です。具体的にどういうことなのか?
まず、車を乗らなくなると不具合を起こす箇所はどこか?この乗らなくなる期間というのは一週間とかの短期間ではなくて数か月単位で考えてください。
不動になった車を車検で預かると、高確率で壊れているのがブレーキです。
ブレーキパッドやブレーキシューは動かさなければ減らないでしょう?と思いますが、問題はそこではなくて油圧を発生させている部分です。
ディスクブレーキならブレーキキャリパーのピストンが固着。ドラムブレーキならホイールシリンダーの固着です。
どういうことかというと、ブレーキのシステムはブレーキペダルを踏んでマスターシリンダーに油圧を発生させます。その油圧をパスカルの原理で四輪ブレーキへ伝えるのですが、各ブレーキのキャリパーやホイールシリンダーは動かさないでいると固着してしまうのです。
ブレーキを踏んでいるのにピストンやシリンダーが動かないから、ブレーキが効かないということになります。直すにはブレーキをオーバーホールするしかありません。
これが不動車に陥りやすい故障です。
続いてはエンジンの不調が考えられます。
バッテリーが上がってエンジンがかからない・・。ということではなくて、燃料系統がトラブルを起こしやすいです。
ガソリンが劣化して腐ってしまうという話を聞いたことありますか?ガソリンって本当に腐ります。ガソリンが劣化すると固形化してきて燃料ラインを詰まらせてしまいます。さらには、うまく火が飛ばなくなるのでエンジンが不調になる。
さらに放っておくと燃料タンクが錆びてしまい、燃料ポンプがそもそも錆びて動かなくなる。不動車でバッテリーは元気なのにエンジンがかからないというのは、ほとんどが燃料ポンプや燃料系統が故障してしまうからです。
そして、ずっと同じ位置で車を駐車しておくと、タイヤが変形してしまうのです。フラットスポットとよばれて、車の重さをタイヤの一部分だけで支え続けて変形。
フラットスポットができたタイヤで走行すると、速度に比例してガタンガタンしたり異音が発生したりします。
そのほかにもウォッシャー液なども使わないでいると詰まりますし、乗らないでいるだけでいろいろな箇所が故障していってしまいます。
車に乗らないでいると、消耗部品は確かに減らなくなります。ブレーキパッドやブレーキシューは減りません。
タイヤだってもし車をリフトアップするなどして保管していれば減りません。
ベルトなども減らないです。
消耗部品は減りませんが、劣化はしますタイヤもベルトもゴム製品なので、経年劣化で硬化が始まります。いくら亀裂が入ってなくても固くなってくると駄目になってしまいます。
オイル類も一度熱を加えると酸化が始まるので、劣化します。
つまり、消耗部品は目に見えて減らないけれど劣化はしていくということです。それにプラスして乗らないが故の不具合も併発していく。
結果車は乗っているほうが調子がいいというのは間違っていないのです。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。