車検で入庫する車のオドメーターを見ていると、ちらほらと10万キロを軽く突破している車を見かけます。
これは小型車、普通車、軽自動車であってもです。
一昔前では走行距離が10万キロを超えると、買い替えをする人が多かったです。理由は2つあります。景気がよくて時代がそうであったということ。
古くなったら新型に買い替えだ!という時代ですね。そしてもう1つの理由は、10万キロ前後でお金がかかる修理が発生していたということ。
高額修理をするくらいなら買い替えるか・・・。と。
今の車と昔の車、それぞれ10万キロ時点で必要な整備の違いってなんなのか?逆に今の車が10万キロに到達した時必要な整備はなんなのか?
考えてみたいと思います。
まずは昔の車の整備事情から。10万キロを超えると高額な修理が必要になってくる・・・。そこまでお金をかけるのならいっそのこと買い替えちゃおうか?
代替えを後押しするほど高額な整備代がかかった理由は何か?
昔の車の多くはタイミングベルトをエンジンに使っています。このタイミングベルト交換一式が10万キロのタイミングでやってくる。この費用が軽自動車であっても追加整備で5万円からといったところ。
さらに、マニュアル車も多く存在していました。普通にのっていくと10万キロを境にクラッチがへってOHしないといけません。運転の技術で前後しますが、クラッチのOH。へたな車はエンジンを降ろさないとできない車種もありました。
今から25年以上前の車になると電装系統も寿命を迎えました。オルタネーターやセルモーターです。今のように20万キロもつほどの寿命はなく、10万キロ前後でいきなりパタッととまってしまうことも。
タイミングベルト・クラッチ・オルタネーター・セルモーター・・・このすべてが重なってしまうと、それだけで20万円オーバーの出費です。ここに車検代が重なると30万円コースの車検ができあがってしまったと。
ここまで費用がかかると確かに代替えを検討し始める気持ちもわかります。
現代の車は昔の車に比べて本当に故障が少なくなりました。
10万キロ走行時点で修理が必要になる箇所を考えてみます。
・エアクリーナー 5万キロごと(2回目の交換)
・スパークプラグ 通常タイプは2万キロ、イリジウムタイプは10万キロ
・各オイル類 メーカー指定のタイミングがそれより早め推奨
・ファンベルト 寿命が延びてきたけど、亀裂ややせ細りがなければ5万キロ位で
・ブレーキパッド、ブレーキシュー 残量が2mmを切ったら
・ウォーターポンプ 10万キロか漏れ出して来たらその時点
・バッテリー 3年ごと目安推奨
・ワイパー かきが悪くなってきたら
・クーラント メーカー指定のタイミング
・ゴムブーツ類 亀裂が深くなったり、切れた時点で
・タイヤ 溝が減ってきたり、硬化してひび割れが起きたら
これらの修理って5万キロ走行時でも半分くらいは必要になります。10万キロを超えると2回目の消耗部品の交換をしないけないです。
ただし、タイミングベルトを使ってるエンジンはほとんどなくなりました。マニュアル車も2割を切っているので、クラッチOHは貨物車位になってきた。
オルタネーターやセルモーターに関しては20万キロもってしまいますからね。
車を買い替える時って、何がきっかけになるか?
自分が気に入った新型車が出たとき。これは結構レアなケースです。あとは、車検などで高額な整備代がかかるとき。だったら代替えを考えようか?この流れが一番多いですね。
もし車検に20万円かかるとしたら、その20万円を元手に新車を買うという選択肢も大いにありえるわけです。
しかしこれが10万円くらいでチャンチャンと車検がおさまってくると、代替えのきっかけにはなりにくいです。
車が長寿命化してきてるので、昔のような回転率で代替えには至らないということですね。
もちろん時代も時代なので、車がいらないと考える人も大勢でてきました。シェアリングやKINTOなどといったサービスもあります。
短期間しか車をつかわないなら所有する意味もなくなりますからね。
ここ15年くらいに出てきた車は、これらに当てはまります。
10万キロ走行なんか5万キロのメンテナンスとほぼ同じです。10万キロってほとんど通過点に過ぎないということですね。
これでも自家用車って稼働率がかなり低い乗り物です。24時間のうち、1時間弱くらいしか1日の間に乗らない人が大半ですからね。この1台を4人でシェアすれば24時間のうち4時間稼働すると。
シェアカーは逆に車を使い倒すということになってきます。これからの時代、さらに長寿命化が進んでくると思います。
台数は減るけど1台当たりの走行距離がどんどんと伸びていく時代がやってくるかなと。
ガソリンスタンドでアルバイトをはじめ、その後指定整備工場へ就職。
働きながら、3級ガソリンエンジン、2級ガソリン自動車の整備資格を取得。2級整備士の資格を取得後整備主任に任命され、自動車検査員の資格を取得。
以後、自動車整備の現場で日々整備に励んでいます。
現役自動車整備士であり、自動車検査員。YouTuberもやっています。車の整備情報から新車、車にまつわるいろんな情報を365日毎日更新しています。TwitterやInstagram、YouTubeTikTokも更新しているのでフォローお願いします。